(世界にある原子力発電所)
いま世界には15000発の核弾頭があり、原子力発電所は欧米、日本、インドなどに400基以上ある。
『風の谷のナウシカ』に出てきたセリフを思い出す。
「あんたは火を使う
そりゃわしらも 少しは使うがの
多すぎる火は 何も生みやせん
火は森を一日で灰にする
水と風は百年かけて森を育てるんじゃ
わしらは水と風の方が ええ」
核兵器はそのあまりの威力のため世界戦争の抑止力になってきたのは事実である。
しかし核兵器ができてから、朝鮮戦争、キューバ危機、インドとパキスタン紛争と、過去20回も実際に核のボタンを押そうとしたことがあったという。
核兵器が一度発射されたら必ず報復の核攻撃があるとされ、アメリカのアイゼンハワー大統領はこう言った。
「核戦争は、敵を倒すことと、自殺することが一組になった戦争」と語った。
問題は核兵器だけではない。福島原発の例にあるごとく、津波程度で破壊される核施設は核兵器の爆発に耐えられるとはとうてい思えない。被害は際限もなく拡大してしまうことであろう。
そして人間は、他の動物と違い実に自殺しやすい動物であり、毎年100万人もの人が自殺している。
その中には、他者を巻き込んだ自殺も数多くあり、自爆テロや「一人一殺」の思想のように憎い敵を倒すためなら、自分は死んでもいいと考える人も少なくない。
核兵器を持っている限り、いつか必ず核戦争は起きる! 残念ながらこれはおそらく間違いないことであろう。
かといってこの世の中から核兵器がなくなるほど、人間は人間を信用していない。
オカルトなどではなく、本当の意味でいま世界は破滅への道を着々と歩んでいるのだ。
国民を守るためには核兵器が必要という人がいる。
ぼう大なエネルギーを消費する現代文明を謳歌するためには、つまり幸せで豊かな生活をするためには原子力発電所が不可欠だという人がいる。
それは一面の事実ではあろう。
しかしこれこそ「地獄への道は善意で舗装されている!」という言葉そのものではないだろうか?
さて、国連では核兵器を持っていいのは、国連常任理事国のみというルールがある。
アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国である。
これらはすべて第二次世界大戦の戦勝国であり、そして世界大戦後も、積極的に戦争をやってきた国でもあるのだ。
一方、国連の許可なく核を持っているとされる国がある。インド、パキスタン、北朝鮮であり、おそらくイスラエルもまた持っているのではないか? と、考えられている国なのだ。
これらの国も、いつ戦争になってもおかしくない国ばかりである。
いま、いつ核兵器が発射されるかはわからない。明日かもしれないし10年後かもしれない。
しかしそう怖れることはない。私たちにはいつ核兵器が発射されるかを予想することは不可能だ。
予想できたとしても、一市民ではできることなどたかだか知れている。
どうしようもないことに怯える必要はない。せいぜい核反対とか原子力反対を訴えるくらいでいい。
後は、自分たちのいまを、自分たちの幸せを信じて、今日一日を充実させるだけだ。
未来のことは誰にもわからないのだから、いまを楽しめ!
後のことは、神様の思し召しと考えるしかないのだから。
巨椋修(おぐらおさむ)拝