松本人志氏の性加害問題が話題になっています。これを書いている2024年1月12日現在、事実は不明。ただの週刊文春の記事と、吉本興行や松本氏本人のわずかな発表だけ。
よってどっちがいいとか悪いとか言う気はありません。ただ、まだ何もわかっていないのに、松本氏がテレビ番組の司会などにお金を出してきた巨大企業が、いっせいにスポンサーを降りたり、提供社名の表示は取りやめにしたりしだしたのです。
テレビ界において、もっともエラいのは大手芸能事務所でも、プロデューサーでも、広告代理店でも、人気タレントでもなく、スポンサー。
スポンサーが資金を提供してこそ、テレビは番組が作れる・・・ はずでした。
しかし20世紀の終わりごろから、一部の大手芸能事務所が異常な権限を持つようになっちゃった。そう、旧ジャニーズです。旧ジャニーズの力がどれほどであったか?
『週刊文春』が1999年にジャニー喜多川の性加害告発キャンペーンを行い、裁判になりました。しかしテレビ局も大新聞も、ほとんど報道しなかったのです。
当然、多くの人は裁判のことは知らず、旧ジャニーズのタレントたちはテレビなどマスコミで引っ張りだこのままでした。
マスコミは旧ジャニーズの力に屈したと言われても仕方がないことでした。
結果、旧ジャニーズ側は裁判に負けるのですが、ほとんど報道されないため、新たな被害が出続けることになります。
しかし2019年ジャニー喜多川が、2021年にメリー喜多川がこの世を去ると、その影響力は急速に衰え、2023年、英国BBCがドキュメンタリー番組を作ってようやくジャニー喜多川の性加害問題が問題にされたのです。
さて、松本人志氏が文春砲に撃たれ、何かと話題を提供していますが、いまの段階で松本氏が性犯罪を行ったということは、まったく不明。
しかし世間ではそういう風な噂が流れています。ちょっと前の時代なら、吉本興行が、旧ジャニーズのごとくマスコミの口を封じることができましたが、いまではもう無理、そんな時代ではありません。
いまや無数の人々が「気軽にスマホで情報を得て、自分の意見を言う」という時代が来たのです。
それまで・・・ スマホが普及していない2000年代やそれ以前は、ネットがつながるようになっても、パソコンの前に座って、わざわざ自分の意見を言う人は、いまに比べると少ないものでした。ネット以前の情報が紙媒体中心の時代は、情報発信者は選ばれた人だけでした。
それがいまや、国民のほとんどがSNSで自分の意見を言えるようになりました。自分のことはさておいて、気楽に他人をバッシングできる時代がきたのです。
無数にいるSNS民に対しては、吉本興行の力をもってしても、どうしようもありません。
そんなときに同時に起こっているのが、SNS民だけではなく、日本国民全体の「清潔なイメージを優先する社会」が来ています。
これを評論家の岡田斗司夫氏は「ホワイト革命社会」と呼びました。これはYouTubeにありますので、興味のある方はどうぞ。
この「清潔なイメージを優先する社会」において、文春砲以降の松本氏の
「事実無根なので闘いまーす」
「それも含めワイドナショー出まーす」
という発言をして、ワイドナショーに出ず(出られず)、記者会見もせず、というのは、人々に「やっぱりな・・・」と邪推させ、「清潔」どころか、「ブラックなイメージ」を与えたように思えます。
そしていまや、このイメージだけで事実は関係なくスポンサーが降りていく時代。
もはや昭和の、「遊びは芸の肥やし」は芸能界で通用しません。60歳の松本氏はいまだに昭和脳で、理解できていないのかもしれません。
この時代の変化が正しいかどうかはわかりません。ただ、芸人・芸能人を目指す人の中には「実はモテて女とヤリまくりたい」と思っていて芸能人になっても、いざ売れてくると、誰がどんな発言をするかわかりません。
松本氏の場合、8年前の事件ですが、どんな人でも5年前、10年前の話を掘り返され大問題に発展するかもしれないのです。
いえ、これは有名人だけの話ではありません。多くない知り合いだけのグループラインとかでも、「実は10年前●●くんにひどいことをされて・・・」と虚実関係なく言われ、外部に漏れて・・・ 家庭崩壊、会社で左遷などが起こりうる社会なのです。
よっていま実に怖い時代がきていると言えるでしょう。