巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

化け物屋敷物語 ぼくたちが体験した怪奇現象


 みなさんは超常現象を信じているだろうか?


 ちなみにぼくの周囲の人は巨椋修(おぐらおさむ)は超常現象否定派と思っているみたいだが、決してそんなことはない。

 ただ、何でもかんでも鵜呑みにする気はない。

 むしろ超常現象は疑ってかかるのが正しい。

 それくらい、過去に超常現象といわれる事柄では嘘、詐欺、トリック、勘違いが横行しているし、現代もそれは変わらないと思うからだ。

 もっといえば、ほとんどが嘘か勘違いと思って間違いないとさえいえよう。



また、超常現象肯定派と名乗る人たちにはかなり痛々しい人がたくさんいて、そういった人たちと一緒にしてほしくないという思いは、正直いってある。



 さて、これはぼくと仲間たちがお化け屋敷の中で体験したちょっと不思議な体験談である。


 お化け屋敷では、大体ぼくかハカルくんが朝に鍵を開け、閉店のときはぼくが最後に見回りをしてから出る。

 お化け屋敷に出入りするときは、裏口からまったく光のない屋敷内に入り、出る。

 頼りになるのは、手にもっている懐中電灯だけ。

 出るときも、真っ暗なお化け屋敷を懐中電灯の光だけを頼りにお化け屋敷を中を通って出るわけだ。

 つまり、朝と夜、真っ暗なお化け屋敷に1人ウロウロするわけだけど、おもしろいことに、そういうときはまったくといってもいいほど怖くない。



 怖いのはむしろ、人がいて人の気配があるときである。


 ぼくはこのお化け屋敷にいる間、幽霊とおぼしきナニモノかを、しょっちゅう目撃したが、それはすべて営業中でにぎわっているときであったのだ。


 例えばこんなことがあった。


 お化け屋敷の設定では、最初に川があり、そこに時空を渡る船がある。お客さまはその船に乗り、時空を超えて昭和にタイムスリップする。

 そして最初に通る通路には、日本人形が並べられている。

 誰とはなしに、その日本人形の表情が日によって違うといいだし、その人形が険しい顔をしているときは、良くないことが起こるといいだした。

 そして誰とはなしに、朝くるとまずはその人形にライトを当て、あいさつをするようになっていた。

 朝、その日本人形が機嫌が良さそうなときは、お化け屋敷の中は悲鳴にあふれるし、寂しそうな顔をしているときは、お化け屋敷の中での悲鳴は少なかったということがある。


 そしてぼくがもっとも多く幽霊らしきものを目撃したのもこの場所であった。



 ある日、バイトでお化け役をやってくれていたクリという大学生が、その日本人形の着物の裾をまくって見てしまうということがあった。



 それを聞いたみんなは


「おまえ、そんなことをするとバチが当たるぞ〜」


 といっていたのだが……


 






なんと彼は本当に数日後、交通事故にあってしまったのだ!!



※これがバチがあたったクリである。彼が包帯を巻いているのは、別に演出のためだけではない。交通事故で耳がザックリと切れてしまい(マジで)、それを誤魔化すためでもあったのでした。(マジで)


 ったくしかも一番忙しいときに!!


 この日本人形の通りでは、口裂け女Sがお守り代わりに持っていた水晶のブレスレットが、理由もなくちぎれ飛んだり、人形の顔が険しいときは、なぜかお化け役がつまづいたりすることが多かったのは事実である。(マジで)


 そしてこの日本人形の前は、最初の入り口であるにもかかわらず、もっともリタイアするお客さまが多かったのも事実である。


 聞いた話しでは、この日本人形は借り物なのだが、何でも“座敷わらし”が憑いているという噂がある人形だったのだ。

“座敷わらし”であるから、いたずらをしない限り福をもたらすものであろう。

 事実、我々のお化け屋敷は、常識では考えられないくらい大評判、大入りであったのだが、それは座敷わらしのおかげであったのかも知れない。


 ちなみにぼくは、最初なぜか仕事仲間から“座敷長”と呼ばれていたのだ。


 どうやら「座敷わらしのいるお化け屋敷の長」だから“座敷長”と思われていたらしい。
(本当の役職名は「屋敷長」である)


 また、お客さんの中には、いるはずのない子どもがお化け屋敷の中を走り回っていたという目撃談もたくさん聞いたが、それはこの座敷わらしが遊んでいたのを目撃したのかも知れない。


 と、すればありがたいことである。


 ありがとう座敷わらし殿。


 おかげでお化け屋敷は大成功であったよ。(笑)



 そして他の箇所では、ぼく自身も何とも不思議な体験をすることになる。


 実はもう一箇所、お化け屋敷にはミステリースポットがあったのだ。



(つづく)