巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

化け物屋敷物語 ぼくたちが体験した怪奇現象2


 そう、このお化け屋敷にはもう一箇所ミステリースポットがあった。

 それはここである。



お化け屋敷の設定では、現代から昭和、昭和から戦中へとタイプスリップしていくというもの。

この通りは、昭和後期から昭和前期、つまり戦時中に渡る道なのだが、その道の両脇に軍服を着たマネキンが立っているわけよ。


スタッフたちはこの道を通ることをやたら嫌がったのね。




そこを通るとぞっとするってね。




お客さまも、なぜかここで落し物をするんだな。


財布とかメガネとか、靴とかさ。



お化け屋敷を出てから


「落し物をしました」


ってくる。


ぼくたちは、他のお客さまが入っていれば、お客さまと鉢合わせしないように落し物を探すわけだけど、この通路って、お化け屋敷の一番真ん中にあって、到達するまで結構な時間がかかるわけね。


場合によっては営業を止めてお化け屋敷は暗いから、電気をつけて探すんだけど、そういうときは結局、この通路に落し物があったりしたの。


そして、ここでお客さまがリタイヤしたときとかは、一番大変でさ。


お化け屋敷の真ん中だから、お客さまが「リタイヤ〜」とか叫んで、ぼくが救出にいくとしても、全力疾走で1分くらいかかるわけよ。

ぼくは大声で



「大丈夫ですか〜、リタイヤですか〜」


とか叫びながら、全力疾走でお客さまのところに行くわけです。


で、必死に走ってお客さまのところにいってぼくが姿を表すと、ま、お客さまは、ぼくを見て






「ぎゃーっ」





って叫ぶね。(笑)


「大丈夫です。係りの者です」っていって安心してもらって、出口に誘導するんだけど、これが難しい。ちょうど真ん中にあるところだから、逆の道をいったら、もしかしたら次のお客さまと鉢合わせになるかも知れない。

でも、前に進んでも、出るまでちょっと時間がかかる。


じゃあ前に進んでって思うだろうけど、その数分が惜しいくらい忙しい状態だったんだね。


だからこのスポットはホントに厄介なところでした。


それとね、このマネキンたちは軍服を着ているんだけど、一人なぜかやたら上着が脱げるヤツがいてさ。


こいつだ!





脱げるたびにぼくとかが着せてあげてたのよ。


ちなみに牛抱せん夏さんっていう女流怪談師がこのお化け屋敷にかかわっているんだけど、どうも霊感があるらしく、以前このマネキンにしきりと話しかけていた姿をスタッフが目撃していたりするのだ。


※マネキンに話しかけていたという女流怪談師 牛抱せん夏


しかしまあ、このスポットでお客様がリタイヤしようが、マネキンの上着が脱げようがそれは別にいいではないか。


上着だって、驚いているお客さまがマネキンとぶつかって、それで脱げているんだろうし。





しかしその後、常識では考えられないことが!!



(つづく)