巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

映画『大津波のあとに』を観て来た


本日、映画『大津波のあとに』と『槌音』というドキュメント映画を観て来ました。

『大津波のあとに』の監督は、森元修一さんは昨年、ぼくと麿監督が主催した『短編ホラー映画祭』に出品してくださった監督です。

幻想的でおもしろい作品でした。でも『短編ホラー映画祭』が終わった後に、森元監督作品でちょっと問題が起こってね。(笑)

森元監督の作品が、ある漫画と酷似しているという指摘がツイッター上に上がったんですよ。「盗作ではないか」と。

でもぼくも麿監督もその漫画を読んでいないので、絶版で手に入らない作品だったんだけど、いろいろ調べると確かに酷似していると。

「うわ〜、これは困ったなあ」ってなって、森元監督に連絡するとなんとその漫画さんとは旧知の仲で、チャンとその漫画の作者さんに許可をいただいて制作なさっていたということがわかって、一件落着というエピソードがあった監督さんだったんです。(笑)

その後何度かお会いすることがあって、今回、東日本大震災の2週間後に大被害があったところの小学校などをカメラにおさめたドキュメント映画ってことで、どうしても観たくて本日行ってまいりました。

感想をいえば、いい作品でした。

ドキュメントでウケようとすると、取材対象者(被災者)に感情を煽るような質問をしたり、取材対象者を泣かせたり、怒りを引き出したりするアザトイ手法(この手法を使えば、観客にはウケるが、取材された方は傷つきます)は一切つかわずに、ただ淡々と、そして優しく被災者の方々に質問をするやり方で、被災地や被災者にインタビューをしており映画で、ぼくはとても好意を持って観ることができました。

なんだろう、インタビューを受けている被災者の皆さんが……、自分の息子さんや家族を亡くされたご家族がね、森元監督のインタビューに答えるとき、ときどき微笑むんですよ。

なんでしょうね、その笑顔は逆にインタビューをしている森元監督に、気をつかっての笑顔であり、またご自身のための笑顔であるような気がしたんですよね。

なんか本当は凄く悲しくてつらいのに、周囲の人のため、自分のためにも笑顔で答えている……みたいな……。


このドキュメント映画は急にはじまり、急に終わります。

それがよかったんじゃないかな。

変にあざとい演出や作りもなくて、それがよかったような気がします。


あと、同時上映の『槌音』という、これは地元出身の監督が親とかを助けにいって、そのため少しでも多くの救援物資を運ぶため、カメラは持ち込めず、スマートフォンの動画で撮った映像を作品にしたものでした。

監督ご自身が生まれ育った家が津波で破壊され、おじいさんも津波で亡くなられ……、ただ、ご自身が育って津波に流された町を写し、津波前にこの町で撮った映像と重ねた作品。

なんかとても心に残りました。

この2本の作品を観て、ああ、俺たちはたまたま運良く「いま生きているんだなあ」と、観終わって思ってしまいましたねえ。

作品を作った皆様ありがとうございました。
そしてオススメの映画です。


映画が終わって外に出て、携帯の電源のスイッチを入れると、即電話が入ってきました。

今週末に『富山短編映画祭』にわざわざ東京からゲスト参加してくださる経済学者の飯田泰之さんから、当日に受ける取材で何を話そうか〜っていう電話。

富山短編映画祭のプレイベントやその他で、飯田さんと映画史研究家の春日太一さんと富山大の先生とぼくとで、ひとつは「女優」をテーマにして、もうひとつは「映画とその時代背景とそのときの経済」っていうことでやることになりそうです。

そういえば飯田さん、「2011年絶対フォローしておくべきツイッターアカウント100選」に選ばれとったわ!

なんかスゲーね。(笑)


巨椋修(おぐらおさむ)拝