巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

スピリチュアルと心の闇

「スピリチュアル」とは「心霊」や「精神」という意味であり、その反語として「フィジカル」、つまり「肉体」という語が当てられる。


一般にスピリチュアルというものには、科学的とはいえない霊的ヒーリングや、除霊や浄霊といったもの、占いなどもその範囲に入る。

これらを生業にする人は多く、宗教家や民間の祈祷師、シャーマン、占い師などがある。

ぼくの知り合いにも何人かいる。

そしてそのほとんどが、危険とは関係なく、良心的な人たちであることを知っている。


しかし……だ。


中には、これらを生業としている人から、悲劇が生まれることがある。

11年11月22日、群馬県において、除霊お祓い、體内快氣メンタルヒーリング、直伝直氣ボディーヒーリング+體内快氣メンタルヒーリング、スピリチュアルリーディング(トリビュアルリーディング)、遠隔ヒーリング精神カウンセリング、心理セラピー等を行っている夫婦の妻が殺された。


警察は容疑者として夫を逮捕している。

夫は自称出版編集業、UFOコンタクティー、ヒーラー、カウンセラーを名乗っている。この肩書きで全国でセミナーやワークショップ、講演などもしていると称している。

UFOコンタクティーとは、UFOに誘拐された人のことで、中には宇宙人に何かをインプラントされたという人も少なくない。

ぼくも何人かそういう人を知っている。

容疑者の夫は、宇宙人に捕らわれて金星に連れて行かれたらしい。


殺された妻は、マッサージ師であり、やはり除霊や精神カウンセリング、心理セラピーを行っていたという。

妻は、元々体が弱く、子どもが不登校になったために、心と体の健康に関心を持つようになったという。


ぼくは、以前このブログで何回か「超常体験をする人は子どもの頃に虐待経験やいじめなど不幸な体験を経験した人が多い」ということを何度か書いた。


この夫がどのような生育歴の人かは知らないが、似たようなものであったのかも知れない。

あるいは似たもの同士であったのかも知れないと想像する。


虐待やいじめ、あるいは病弱であったり、幼少期に寂しい思いとしている人は、大人になってからも、なかなか自分に自信が持てない。自己肯定感が低い傾向がある。


それらのつらい思いからの逃避先として、あるいは救いとして、超常現象体験や神秘体験があるのではないだろうか?

そのもっとも大きなものは宗教であろう。


先にも書いたように、スピリチュアルを生業にする人の、あるいはそれらにハマる人のほとんどが善良で良心的な人なのだが、ときには今回のような凶悪事件と繋がってしまうということがある。

今年の9月には「除霊」と称して僧侶と実父が中二の娘を殺してしまったという事件も起きている。

正確な数字はわからないが、これらスピリチュアルに関係する殺人は、年間5〜10件くらいあるのではないだろうか?


警察庁の発表によると、日本国で一年間に出る殺人死亡者は約500人である。

仮にスピリチュアル関係の殺人(除霊や修行中の殺人)が5人としても日本で殺される人の100人に1人がその中に入る。

本来、救いとなるはずのスピリチュアルだが、精神世界のことだけに、人間精神の闇に近いところにもあるように思えるのだ。



巨椋修(おぐらおさむ)拝