ぼくは
「人権思想なんて極めて人造的なもので、人間にはもともと【人権】なんてないのだ」
と、思っているのだよ。
【人権】は他人の【人権】を踏みにじることで成り立つ場合だってある。
裁判などで、死亡した被害者や遺族の人権は無視され、犯人の人権が尊重される場合などがそれである。
【人道・良識】もそれに同じ。
むかし…… いまから45年程前、一人の大人気コメディアンがいた。
最高視聴率が関西で64%を超えたという番組【てなもんや三度笠】で、藤田まこととコンビを組んでいた白木みのるという人だ。
白木みのるは身長が120センチしかない。
人気が絶頂期であった昭和38年の【紅白歌合戦】では、なぜか藤田まことのみが出演し、白木みのるには、声が掛からなかった。
理由は、白木の身長にあった。
どうやらNHKが、異様に体のちいさい白木みのるを【身障者】【かわいそうな人】と、解釈した結果であったという。
そのような【かわいそうな人】をバラエティ番組に出して【笑い者にする】というのは【人道的によくない】という【良識】からであった。
そして白木みのるは、テレビから姿を消すことになる。
似たような例は他にもあって、ドリフターズの【8時だよ!全員集合!】という番組で、【小人プロレス】の人たちが出演したことがある。
これまでサーカスや、女子プロレスの前座をやって食いつないでいた彼らにとって、一世一代の晴れ舞台であり、全国区になるチャンスであった。
ところがこれにも【良識派】のおかあさんたちから、クレームがつく。
「身障者を見世物にしたり、笑い者にするのは子どもの教育に良くない」
というのだ。
その後、彼らは表舞台から姿を消し、失業した人もいることだろう。
現代では、身障者プロレスというのがある。
このレスラーの人たちは脳性マヒであったりし、障害者年金や、月数万円の月給でなんとか食べている人たちなのだが、その人たちがなんとか自主興行をしている。
これらもメジャーマスコミに出ることはない。
【人道派】【人権派】【良識派】の、心正しい人たちからクレームがくるからである。
もっとも【人道・人権・良識派】の人たちも、知的でスマートな『五体不満足』著者、乙武洋匡さんには、喝采をおしまないのだ。
もし【人道・人権・良識派】の人たちが
「ヤツらは、気持ち悪いし醜いから、そんな見世物はみたくないんだ」
と、いうのなら、まだいい。
それなら会場に足を運ぶ必要はないし、テレビもチャンネルを変えればいい。
人気がなければ、テレビにも出られず興行もできないから、自然と消滅するだろう。
笑い者にするなだって?
白木みのるはコメディアンである。
小人プロレスや身障者プロレスは、コミックプロレスでありエンタテイメントである。
笑いたくなければ、彼らの技術や芸が未熟なので、ムリに笑う必要もない。
しかし【人道・人権・良識】の名のもとに抹殺しようとするなよっていいたいのだよ。