巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

リオ五輪の日本柔道ついて


 日本柔道は過去最多メダル数であった。これは指導者の努力研鑽がたまものだと思う。

 過去日本柔道は宗主国の傲慢さからあまり他国他格闘技の研究をしてこなかった。
 そういうことは過去にもある。

 67年6月の日ソ親善柔道大会で、中量級の選手でありながら体重無差別の全日本選手権者そ、東京五輪中量級金メダリストの岡野功を、サンビストのミシシェンコが腕挫ぎ十字固め敗れた。サンボ独特といっていい変化技であった。

 動画の25分35秒あたりから、岡野が敗れるシーンが記録されている。



 その後、岡野はサンボ等の他格闘技を研究。


 岡野の著書、バイタル柔道にはサンボ独特の投げであるビクトル投げさえ紹介されている。




 ちなみにビクトル投げは本来足関節を決める技であるが、柔道では反則になるため、抑え込みに引き込む技として紹介している。


 しかしその後、どれくらいの柔道家が他格闘技を深く研究しただろうか?


 私が知る限りでは、木村雅彦の最後の弟子で柔道全日本王者、サンボ国際トーナメント王者になった岩釣兼生くらいしかいないのではないだろうか?


(実は私自身、岩釣先生が拓大の監督時代に面識があった。短期間だが、一時拓大柔道部に打撃技を教えに行っていたことがあるのだ。当時の拓大で一番打撃に興味津々だったのは、選手ではなく岩釣先生ご自身であった)


 海外の選手は、柔道だけではなくサンボやレスリング、チタオバ、ブラジリアン柔術、モンゴル相撲といった他格闘技の同時に学んでいたㇼ、下地にあったりする。


 ゆえに日本人柔道家があまりやらない、這った相手を投げて一本を狙ったり、いきなり寝技に引き込んだりといった技を使ってくる。


 これまでの日本選手団は、柔道を生んだ国であっただけに、それら他格闘技から学ぶことができなかったのかもしれない。


 リオ五輪日本選手団や指導者たちは、今回かなりそういった他格闘技の技術や他国の選手の技術を学び、取り入れ研究してきたという。


 だからこそ、過去の最多のメダル数が獲得できたのだと思う。


 思えば柔道創始者嘉納治五郎は、一つの柔術流派の技術のみならず、多くの流派の技術を研究研鑽し、レスリングなどからも技を取り入れ、新技を開発したという。


 武道、武術、格闘技やスポーツのみならず、人間のやることはあまり保守的にならず、常に新しいものを求めていかないといけないのではないだろうか。


 ともあれ、日本柔道選手の皆さんおめでとうございます。



(巨椋修(おぐらおさむ)拝)