巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

美味しんぼ鼻血事件と陰謀論者の共通点

漫画『美味しんぼ』の鼻血事件が全国的大事件になってしまっている。ふと思ったんだけど、漫画の中に登場する前双葉町町長の井戸川さんは、なぜ大病院で検査しないんんだろう? 

テレビで言っていたけど、いまでも鼻血が毎日のように出ていているらしい。

鼻血は、鼻の癌、高血圧、糖尿病、白血病などなど命に関わる病気が原因で出てくることがあるそうな。なんか心配になってくる。

もしかしたら、大病院で内部被爆検査とかをしても、政府の“陰謀”で、正しい答えが隠蔽されてしまうと思っているのかも知れない。


まあ、そんなことはないと思うが、いまいろいろ言われている【放射脳】とか言われている人たちと、オカルトの陰謀論者とは共通点があるように思える。



それは被害者意識であり、犠牲者意識だ。



「自分は被害者だ」「自分は犠牲者である」という強い思いがある人は、心に強い不安や不満を持っている人が多い。


「自分は被害者だ」「自分は犠牲者である」という思いゆえに、怒りの心理も抱えている人が多い。



これはあなた自身の心を考えていただければわかると思う。


怒りを感じるときとは、不安、つまり怖いから怒るのだ。あるいは不満、つまり思い通りにならなかったり理不尽さを感じているから怒るのだ。


そして、被害者意識の強い人というのは、他人をあまり信用できない人でもある。


自分は被害者で、他の人や政府はわたしたちを騙しているから、わたしたちは苦しい思いをしているのだと、信じ込む。


また悪いことにしばしば他人や政府は実際にわたしたちを本当に騙したりするから始末が悪い。


ますます信用できなくなる。人間不信になり政府や組織に不信感を抱き、被害者意識を持つ。



不安が強いときというのは、自分がものを亡くしても「誰かが隠したのではないか?」などと人を疑う傾向がある。これぞまさしく被害者意識のなせるわざである。



震災前、オカルトの陰謀論を信じる人にはその傾向がある人が多いという実感がわたしにはあった。おもしろいことに、そういう人たちは、公的なものや定説より、一見奇妙な説を信じる傾向があるようだ。



いわゆるノストラダムスの大予言を信じる人たちであったり、震災のときは人工地震爆弾や、ユダヤの陰謀説などなどをまことしやかに信じている人たちが、実際にいたのである。


終末論やカルト宗教を信じる人たちも、不安や不満を感じている人たちが多いように思う。


そういう人たちは、子どもの頃に親から虐待を受けていたり、友達からいじめを受けた経験など、不幸な経験をした人に多いようだ。


ひどくなれば、アダルトチルドレン(虐待や育児放棄、厳しすぎるしつけ、アルコール依存症の親を持ち、大人になってもその影響を受けている人)や、人格障害に近い状態の人もいた。


そういう人たちは、人とうまく付き合うことが苦手であり、不安に苦しんでいる人たちでもあり、傷ついている人でもある。



傷ついている人は、手負いの獣がそうであるように、容易に牙をむく。



わたしは脱原発が良いと思っているし、政府が何か陰謀をたくらんでいてもおかしくないと思っているが、過剰に牙をむいている人たちや、あまりにも奇妙なことを連呼している人たちを見ていると、一緒にされたくないな〜などと思ってしまうこともあるのである。


多くの人にも、そう感じてる人がいるのではあるまいか?




巨椋修(おぐらおさむ)拝