巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

大地震におけるデマその1「ツイッターによるデマの発生」


 世の中、デマ、流言、虚言が絶えたことがない。

 特に天災や戦争、不況など人々が不安になったとき、多くの人はデマや流言虚言に惑わされる。

 それはよく言えば繊細な人、悪く言えば精神的不安定な人ほど、それらデマを真に受けてしまう傾向があるようだ。


 2011年3月11日、関東・東北にこれまでにない巨大地震が襲った。この地震での死者・行方不明者は2万人を超え、今後まだまだ増えていく見込みである。
 災害にデマはつきものであるが、関東東北大震災も起こった直後から「デマ」「流言」「虚言」が横行することとなる。

 その理由はいくつかある。
 ひとつは、あまりにも巨大で広範囲に渡る大地震であったため、当初、政府行政がほとんどのその実態を把握することができなかったからである。
 よって政府による発表も、煮え切らない言い方しかできなかった。
 政府の発表を聞いた報道関係者も、生放送を観ていた市民も、その煮え切らない物言いに、どうしてもストレスを感じてしまう。そして次にこう思う。

「政府は、何か隠しているのではないか…?」

 と…。

 次に、被害地にいる家族や友人、知り合いなどと連絡を取りたいと思った人々がいっせいに電話をかけて安否を知りたがった。
 が…、電話はパンクし被害地とつながらない。

 人々は不安になった。

 そして、電話はつながらなくても、インターネットは被害のひどい所以外ではつながっていた。

 そこで2ちゃんねるや、ツイッターミクシィフェイスブックといったソーシャルネットワークが人々の情報源となったのだ。

 特にツイッターは、これまでにない活発な情報交換の場になったようだ。

 2ちゃんねるツイッターといったネット媒体が、どこよりも、誰よりも早い情報源となって、日本を、世界を駆け巡ることになる。これが21世紀の大災害「関東東北大震災」の特徴であったといえよう。

 ツイッターのデマは、地震の直後から起こった。


「若い男が1人暮らしの女性宅に侵入しようとする事件が続発しています。東京杉並区○丁目に住んでいるのですが、ピンポンが鳴って「ガスの点検に来ました」という声が聞こえたのでカーテンの隙間から覗いてみると、耳にピアスのある若い男性が4人立っていました。出ないでいると「チッ」と舌打ちして帰っていきました。1人暮らしをしている女性は気をつけて!」


 というツイートが出ていたのが、筆者が見た最初。

 コピー&ペーストで、市区町村の違うバージョンが次々と出てきて、一週間後には震災被害地である宮城県にも、同様のツイートがつぶやかれるようになる。

 第二次大戦前に、軍と警視庁が実験で、デマがどれぐらいのスピードで広がるかを調べたことがある。その結果では時速約43キロ。つまり当時の汽車のスピードと同じ速さでデマ情報が伝わったということだ。

 戦後になってデマ拡散のスピードは、電話や電波のスピードで伝わるようになったというが、今回の例では、東京という被害が少ない場所から、ネットと同じスピードで拡散していったと言えるだろう。


 またこのツイートについては、「これはオレの友だちの体験談だからマジ気をつけて!」と、書き加えてあるものが出てきたりもした。

 この「独身女性の部屋に男が侵入しようとする」というデマをツイッター2ちゃんねる等で流したのは、おそらく“善意”の人々であろう。

 よって誰かが、この話はデマであると批難しても、流した当人は「万が一本当だったらどうするんだ! たとえデマでも用心して悪いことではない!」と、開き直ってしまう場面もよく見られる。

 確かに「独身女性の部屋への侵入」ということは、平常時でもありうることだから用心に越したことではない。しかし、ただでさえ不安になっている一人暮らしの女性の不安を煽っていることも違いはない。

 今回の震災では、他にも数多くの「デマ」が表れ、多くの人々が踊らされ、大なり小なりの被害を受けた人も少なくない。次回はそれを検討してみようと思う。




巨椋修(おぐらおさむ)拝





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