巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

オカルトと反知性主義


反知性主義とは?
 地球外知的生命体フォーラム会長の巨椋修(おぐらおさむ)です。昨日は副会長、小路谷秀樹監督のUFO探索ドキュメンタリー映画『 GATE(ゲート) 』の撮影でした。



(昨日はスタジオで収録)


( 撮影は、聖徳太子が編纂した古文献「先代旧事本紀大成経(さきつみよのふるきみわざのもとつふみ)」の唯一の正統後継者、後藤隆先生との対談でした)


 撮影の後、小路谷監督とオカルトと反知性主義について話しをしたんだけど、残念なことに『オカルト』と『反知性主義』はリンクすることが多い。


 反知性主義をわかりやすく説明するとしたら、作家の佐藤優さんが『あぶない一神教』という本の中で



 反知性主義を簡単に定義するとしたら「実証性や客観性を軽視もしくは無視して自分が欲するように世界を理解する態度」です。


 新たな知識や知見、論理性、合理性、客観性、他者との関係性を等身大に見つめる努力をして世界を理解しようとせず、自分に都合のよい物語にこだわるところに反知性主義の特徴があります。


 ということであろう。



●世界を支配している闇の巨大組織などない!
 欧米の反知性主義の代表格に『ユダヤ陰謀論』や『フリーメーソン陰謀論』『イルミナティ陰謀論』がある。つまり、ユダヤ人やフリーメーソンイルミナティなる「世界を支配している闇の巨大組織」があって、セカイは支配されている〜といったものである。これが日本なら、在日韓国朝鮮人に日本は支配されている〜というものになるのであろう。ぼくにマジメな顔をそう話しかけてくる人は少なくないのだ。


 だが、実証性や客観性、新たな知識や知見、論理性、合理性、客観性、他者との関係性から、そういった「世界を支配している闇の巨大組織」があるのかといえば・・・


 私の知る限り残念ながら「ない」のだ。


 世の中には、悪人はいます。暴力団やギャング、マフィアといった反社会的組織もありますが、「世界を支配している闇の巨大組織」は私の知る限りありません。


 北朝鮮独裁国家やIS(イスラム国)のような武装勢力もある。お金を儲けようとする人や集団、権力権勢を広げようとする組織、自分たちの思想信教を広げようとする組織や団体もあるが、「世界を支配している悪の巨大組織」は私の知る限りない。


 なぜならば、「悪」があるということは「正義」があるということであり、皆々、自分たちは正義であり反するものが悪であると思っているだけで、絶対善がないのと同じように絶対悪もない。


 つまりはアメリカから見れば、ISや北朝鮮は悪であると断定するかも知れないが、逆にISや北朝鮮からすれば、自分たちこそ正義でありアメリカは悪であるという、どちらか、あるいは両方の一方的な決めつけであるに過ぎないのだ。


 また、世界は一つではない。欧米を中心とするキリスト教世界、中国世界、中東あたりのイスラム世界と世界は多様。日本人は世界=欧米と考えがちだが、決してそれだけではなく、いまだ各世界を統一した組織などないのだ。



 しかし「世界を支配している悪の巨大組織」というものをあることにして、その上で世界を理解しようとすると、すべて【世界を支配している闇の巨大組織の陰謀】で、わかったような気になることができる。


 ちょっと反知性主義陰謀論の例を出してみよう。



例1、ユダヤ人が世界を支配しているのだ!
(世界を支配しているのなら、なぜいまだにパレスチナ問題があるのだ?)



例2、世界統一政府を作ろうとしている「世界を支配している悪の巨大組織」があり、2050年ごろまでに超富裕層と貧困層による超格差社会が建設されるのだ〜! さらに貧困層は何十億人も人口減のため殺されるのだ〜!
(世界統一政府がもし仮にできるとして、それのどこがいけないのだ? むしろもしできるのであれば戦争もなくなりいいではないか? 格差社会ですって? すでに世界人口の半分と同じ富が62人の富豪に集中していることは衆人の知るところ。いまさら何をって感じである(苦笑))



 そして貧困層が何十億人も殺されるとしてだ。その遺体処理をするのも貧困層であり、大量に人が死ねば、ペストの例を出すまでもなく疫病の危険で富裕層も危険にさらされることや、貧困層の遺体処理は経済効果を望めないから、一部富裕層は貧困層から巻き上げることができないということがわからないのかね? ちなみに富裕層がより豊かになるためには、貧困層を豊かにしてそこから上前をはねるのが一番安全策ということもわからないわけではあるまい)



例3、とにかくなにがなんでも、現在おこっているすべてのことは陰謀なのだ〜!!
陰謀論は最強です。くわしくはブログ【オカルト陰謀論こそ最強である! オカルト陰謀論こそ最強である!】をお読みくだされ)



 つまるところ反知性主義とは、複雑で難しい世界を単純にしてわかったつもりにさせる装置なのです。






●オカルトは本来知的思想であった
 反知性主義を別の言い方をすると、「アカデミックな知性を拒否する」とか「データを無視する」とかですが、あるいは「考えが足りない人」だけど、それといま近い位置にいるオカルトというものは、本来ならばかなり知性的は思想と行動が必要なジャンルであった。


 カンタンにいってしまうとガリレオニュートン錬金術師でありオカルチストでした。彼らは「地球は周っている」とか「リンゴは地面に引っ張られて真っすぐに落ちる」とか当時の人々からトンデモと言われることを主張した人でもありました。


 オカルトの語源はラテン語で「隠されたもの」という意味。つまり隠された真理を探そうとするのがオカルチスト、科学者だった。


 現在でいうと量子物理学者とかがそうかもしれない。量子物理学だと「月は人が見ていない間は、本当はないのかもしれない」とか「世の中はあなたがいないと存在しない可能性がある」とか「あなたはあなたとそっくりなあなたが違う世界でたくさん生きている可能性がある」を大マジメに語り、計算や実験ではそういうことになるそうなのだ。


 これをオカルトと言わずして何をオカルトと言うべきか!


 オカルトとは本来、最新科学でありもっとも知性的な行為であり思想なのである。それが一部のトンデモ・ビリーバーや、イッってしまった人、そして娯楽としてのオカルト番組やレベルの低いオカルトマスコミのおかげで、オカルトを語る人を「アレな人」と蔑視されるようになってしまったのである。




●オカルトの負の部分
 ただオカルトには負の部分がある。それは「呪い」「祟り」「怨み」といった人間の感情であり、それもオカルトの一部なのだ。さらにいうと、「幻想」「妄想」というのもオカルトの重要な一部分でもある。


 どういった人が「呪い」「祟り」「怨み」に惹かれるのかというと、いじめられっことか、劣等感がとても激しい人とか、被害者意識がとても強い人であろう。つまり弱い人である。そういった弱い人は、非科学的なこと、非常識な方法で楽に復讐するとか、楽に世の中に出て、超能力的な力を使って一発逆転で、復讐し自分がスター的な存在になることを夢想する。それもオカルトの魅力であるのは否めない。


 オカルトはこの世にはないかも知れないものを扱うものでもある。例えば幽霊。この世に幽霊がいるのかいないのかは、残念ながら証明されにくい。そもそも「存在がないもの」を「存在がない」と証明するのは、限りなく不可能に近いのだ。これを「悪魔の証明」という。


悪魔の証明」とは、あるものを証明するためには「ある」ことを一つ示せばいいのだが、ないものを証明するためには世の中のすべてのものを調べてそこにないことを証明しなければならず、それは実際不可能に限りなく近い。


 よって議論や科学の世界では「ある」と主張した人が、「ある」という証拠を出す成り証明をする必要がある。そうしないと、デタラメ、妄想、幻覚と判断されても仕方がないのだ。そしてガリレオニュートンアインシュタインも、オカルト的なものを証明してきたのである。


 残念ながら、いまのオカルチストがいう幽霊とか宇宙人の存在を証明した人はいない。


 もう一つが、統合失調症の症状とオカルチストが主張することはかなり近いということもある。統合失調症は、幻覚幻聴があり、脳の中で誰かがテレパシーで話しかけているとか、悪魔が語りかけているとか、いつもどこかで誰かに見張られているとか、神や悪魔の声が聴こえるとか、極めてオカルト的なのだ。


 よってそういった人達の中には、反精神医学といって、「精神病なんて精神科医の陰謀であって、本当は存在しないのだ!」と主張する人もいる。ぼくもそういった人と会ったことがあるけど、かなり精神的に偏っているなと思ったものだ。これも反知性主義者と言えるのではないだろうか?


 オカルト的なものを娯楽ではなく考えるとき、絶対的に必要なのは、エビデンス(科学的根拠)とデータであろう。しかしそれ苦手なのが、いまのオカルト好きなのではないだろうか? これまたオカルトの負の部分と言えるのではないだろうか?




巨椋修(おぐらおさむ)拝


わたし(巨椋修(おぐらおさむ))が監督した映画『不登校の真実〜学校に行かないことは悪いことですか? 』DVDになりました。
精神科医不登校に携わる皆さんにインタビューをしており、問題解決のヒントになれば幸いです。
TSUTAYA』のドキュメンタリーコーナーにも置かれておりますのでご覧になってください。


●巨椋修(おぐらおさむ)の著書



ビックリ!おもしろ聖書物語 (リイド文庫)

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  • 作者:巨椋 修
  • 発売日: 2009/10/30
  • メディア: 文庫






新版 丹下左膳

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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

陽明門護身拳法のHPはコチラ。門下生募集中!
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