巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

高齢化するオカルトマニア

●73年に爆発したオカルト人気

 この前、70年代80年代に『ノストラダムスの大予言』を書いて大ブームを起こした五島勉という作家が「子どもたちに謝りたい」といってテレビに出ていたそうです。

 

 それがどれくらい凄かったかというと、200万部超えの大ベストセラーになった。

 

 ご本人も出版社もそんなに売れるなんて予想だにしていなかったそうです。

 

 この本が最初に出版されたのが73年。この本はシリーズ化されて、98年まで全10冊出ており、シリーズ累計600万部というから凄い。

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 そして同年、スプーン曲げで世界中で有名になったユリ・ゲラーが来日。たちまち日本に超能力ブームが起き、やがてスプーン曲げをする少年たちもたくさんマスコミに取り上げられるようなった。

 

 さらに同年、漫画家のつのだじろうが『うしろの百太郎』『恐怖新聞』といった心霊漫画を発表し、これも大ヒット!

 

 やはり同年漫画家の矢口高雄が、ツチノコをテーマとした漫画『幻の怪蛇バチヘビ』が大ヒットしている。

 

 人によっては73年を戦後のオカルト元年という人もいるくらい、日本中がオカルトブーム沸きだしたのです。ちなみにホラー映画の『エクソシスト』の制作も73年、日本公開は74年でこれも大ヒットしました。

 

 

●70~80年代のオカルト少年とオウム事件

 これらのオカルト人気は90年代半ばまで続きます。 

 

 80年代になると70年代にオカルトに夢中になった少年たちは成人していきます。しかし彼らは超能力やUFO,人類が滅亡する大予言を忘れたわけではありません。

 

 中には本気で超能力を手に入れたい、宇宙人は地球に来ているはずといったことを信じている人もたくさんいました。

 

 その中の一部の人は、超能力が身につくという触れ込みの『オウム真理教』や『幸福の科学』といった新新宗教に入信する人もいました。

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オウム真理教教祖の本。実は数年前ぼくも古本屋で見つけて100円で買った。いまAmazonで見たら2万円の値がついてた。売ろうかな(笑)。



 

 特にオウム真理教が起こした数々の事件の実行犯は70年代当時オカルト少年だった人たちです。オウム事件はオカルトの負の一面ともいえるでしょう。

 

 

 当時、オカルトに夢中になった少年たちは2019年現在、50代60代になっています。

 

 

●月刊ムーの平均購読者年齢は?

 どうも現在のオカルトファンたちも、その年代の人たちが中心あるようなのです。『HONZ』の「『月刊ムー』を読んでいるのは、どんな人たちなのか?」という記事によると、やはり中心は50代60代。

 

 70年代80年代のオカルトブーム直撃世代であるようです。

 

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オカルト雑誌月刊ムーの購読者年代は50代60代が中心。https://honz.jp/articles/-/44393


 ●なぜかオカルトビリーバーは保守的

  オカルトファンが保守的だといえば、皆さんはどう思うでしょうか? これはあくまでもぼく個人の意見なのですが、ぼくがこれまで会ったオカルトビリーバーやオカルトマニアの人たちの中で、政治的に革新やリベラルといった主義を主張した人はまだ一人もいないのです。

 

(ただしこれもぼくの個人的意見では、日本における政治的に革新とかリベラルといわれる人は、政治的に保守といわれる人たちより「保守的」だと思ってます。くわしく話すと長文になるので、ここでは略)

 

 ぼく自身、オカルト関係の記事を書いたりすることもあるため、一般の人に比べて何倍何十倍のオカルトビリーバー(信者)の人に会っているはずなのですが、いまのところまだいません。

 

 おそらくいるとは思うのですが・・・(スピリチュアル系大好きな人はいますけどね)、逆に俗にいうネトウヨと呼ばれるような人は何人もいて、あまりにヘイト発言が多いのでお付き合いをやめた人がいるくらいです。

 

 理由はわかりません。オカルトのジャンルの一部に、陰謀論というのがありますよね。ユダヤの陰謀とかイルミナティの陰謀とか。

 

 陰謀論のビリーバーの人は、あまりその陰謀論の出どころを調べたりしないようなんです。そういった人たちに「そのソース(出どころ)は?」と聞くと、ネットやYouTubeだったり、あるいは有名な陰謀論者がそういっていたとかばかり。

 

 ネトウヨのヘイトデマを信じる人も、ソースとか整合性とかを調べようとしない。

 

 どちらも検証をあまりしない。信じたいからそう思うというところが共通点かも知れません。

 

 まあ、リベラルといわれる人の原発デマや、悪いことはすべて「保守系総理のせいだ~」といって、ソースや整合性がないことが多いのも同じで、彼らもデータを捏造したり、放射能デマを拡散しまくってますので、同じ穴のナントカなのでしょうけど。

 

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陰謀論を信じやすい人のタイプは「社会・イデオロギー的に変わりゆく価値観に対して恐れを感じている人々」「自身の政治理解度を過大評価している人たちは、特定の個人やグループが陰謀的に世界的な決定や出来事、結果に影響を及ぼしているとする「幻」の中で生きやすい」人であるという。

「陰謀論」を信じやすい「2タイプ」の人とは より引用)

 

 

 

●高齢化するオカルトマニア

  オカルトってすごくマンネリなんですよ。マンネリとはマンネリズム(mannerism)の略で独創性や新鮮味などが失われて、一辺倒に陥っているという意味。

 

 もしかしたら、オカルトビリーバーにネトウヨが多いのも、独創性や新鮮味を嫌う傾向があるのかも知れません。

 

 オカルトの話題って70年代からあまり変化していないんです。

 

 冒頭の『ノストラダムスの大予言』は外れても外れても「実は・・・」となる。毎年「今年はノストラダムスの予言が・・・」と、オカルトマスコミは言い続ける。

 

 年に何回も次の●月に大地震が・・・ とか人類滅亡が・・・を繰り返す。

 

 念力といえば、いまだにスプーン曲げが出てくる。

 

 ネッシーや雪男はいると、オカルトマスコミは、言い続ける。

 

 ユダヤイルミナティの陰謀、ヒトラーは生きていたなどなど、それらは70年代、あるいはそれ以前から延々と繰り返されている話題で、それら以外に特に新しいのってでてこない。

 

 逆によく飽きないなあと感心するくらいです。

 

 ただ、前述したように、もはやオカルトは中高年のもの。

 

 若者はそんなのにあまり関心がない。

 

 UFOに誘拐されたって主張する人も若者は少ないんじゃないかなあ。

 

 オカルト的な考えって人類発祥からあると思うのですけど、いまのオカルトマニアはただただ高齢化するのみのような気がします。

 

 もしかしたら、70年代のように新しいブームが生まれるかも知れませんが、それらがオウムのようなカルトを生まないことを祈るばかりです。

 

 

巨椋修(おぐらおさむ)拝