それは、わたしが18歳のときのことでした。
高校時代の友人が、引っ越すというので、手伝いにいったことがあったんです。
で、友人のアパートに行って、荷物の片付けをしていました。
それでオレが、押し入れの奥の荷物を、ダンボールに詰めていたときです。
押し入れの奥の奥に、なにやら肌色でビニール製の
何か……
が、あったんです。
オレは、それを押し入れに手を伸ばして、端っこをつまんで引っ張りだしてみたんですね。
すると、びろびろの丁度海水浴に使う浮き輪の空気が抜けたものみたいなモンがでてきました。(肌色でした)
浮き輪とちがうのは、それには頭がついていて、金髪の毛がついていて、その顔の口はアルファベットのOの字型に開いていたことなんですね。(笑)
で、オレが唖然としていると友人が
「あ〜、ち……違う! そ、それは友達からもらったものでオレが買ったんじゃない!!」
って、顔を真っ赤にしてオレの手から、その何かをひったくったんです。(笑)
いや、いいんだけどね。
でも友達にもらったって。
それって中古なの?
ひょっとして友達のお下がり?
ひょっとして、友達と人形兄弟???
という、当然の疑問を口に出すこともなく、ただただオレは引越しの手伝いを続行したのでした。
そしてその日が、その友人と会った最後の日となったのでありました。
巨椋修(おぐらおさむ)拝