巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

運命はあるんじゃないかと思いはじめている

 うん‐めい【運命】人間の意志を超越して人に幸、不幸を与える力。また、その力によってめぐってくる幸、不幸のめぐりあわせ。


しゅく‐めい【宿命】生まれる前の世から定まっている人間の運命。

大辞泉より−


 最近、運命や宿命というものがあるんじゃないかと思いはじめているんですよ。


 過去も未来も、5分後も10年後もピッチリと決まっているのではないか?と……



 そう思うようになったのは、ハッブル宇宙望遠鏡によって131億光年先にある天体を観ることができるということを知ってからなんです。

 131億光年というのは、宇宙がビッグバンで誕生して、137億年前だからほとんど、宇宙が誕生して間がないときの過去の姿が観られるということです。

 つまりぼくたちはよく「アンドロメダ星雲は約239万光年先にある」なんていうけど、1光年というのが、光の速さで1年かかる距離のことで、ぼくたちがいま観ているアンドロメダは、239万年前の姿、過去の姿なんです。

 このように宇宙で我々が眺めている星ってのは、数万年前の姿を、現在のぼくたちが眺めているんですね。

 ということは……、地球から0.5光年先に鏡を置いて、それを地球から望遠鏡でのぞくと……

 一年前の地球が観ることが可能ということです。

 そして、一年前の自分とか、あるいは百年前の人々の姿もリアルに観られるかも知れないということになります。

 鏡を置く距離によって、3日前の自分、高校生のときの自分、12歳のときの自分、幕末期池田屋に突入する新撰組の姿や、信長を殺そうとして本能寺に向かう明智光秀の姿、関が原の合戦、イエスや釈迦の姿なんていうのも観られるかも知れません。


 しかし、いかに過去の歴史をリアルに観ることができたとしても、過去の歴史を変えることは不可能。


 それと同じように、未来もまた決まっていて、それを変えるのは不可能なんじゃないか……


 なんて思ったりするわけです。


 もう宇宙が誕生した137億年前のビッグバンで、どのように宇宙が変化して、やがて地球が生まれて、人類が誕生していく過程って、もしビッグバンが起こった瞬間に超々高度な計算機があれば、全部計算できるんじゃないかって……

 当然、これから地球や宇宙の命運も全部計算できてしまうのではないか……


 なんて思ったりするわけです。


 なぜいまこんなことを書いているかというと、ちょうど今日読んでいた「バガボンド」という漫画にこんな沢庵和尚のセリフが出てきたんですよ。




 まず沢庵和尚は宮本武蔵に、最近天の声を聞いたと伝えます。

 そして天の声によると

 わしの

 お前の

 生きる道は


 これまでもこれから先も


 天によって完全に決まっていて


 それが故に―――


 完全に自由だ


 さらに沢庵は、


 もし生まれた甲斐があるのだとしたら


 もうどうなとしてくれ


 ただ受け容れる

 と、武蔵に語ります。


 同じように哲学者ニーチェは「永劫回帰」という思想があり、それも一種の運命の肯定であり受容。


 しかし運命や未来などというのは「神のみぞ知る」こと。

 我々はあらがいつつも受け容れるしかない。

 むしろニーチェのように肯定して受け容れるしかないのかも知れません。


 最近、そんなことをよく考えます。


巨椋修(おぐらおさむ)拝