巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

お化け屋敷と町おこし


友人の碇氏から「お化け屋敷のことをセミナーで語ってもらえませんか?」といってもらい、やらせていただくことになった。(いや、こんな俺でいいのかねえ?)

内容や申し込みは以下のアドレスをクリックしてね。

http://kokucheese.com/event/index/118378/


それでつらつらと、お化け屋敷や町おこしについえ考えてみる。

まず、このお化け屋敷は、金儲けや売名、ひと夏の思い出づくりとしてはなく【町おこし】が第一目的であった。

お化け屋敷はその【手段】。

これは、ぼくがお化け屋敷に行く前に、吉村代表に繰り返し聞いて確かめたことだ。
(参照;「[http://d.hatena.ne.jp/ogura-osamu/20130708/1373474345
:title=岐阜・柳ヶ瀬のお化け屋敷『恐怖の細道』について覚書]」

では、お化け屋敷が終わったいま、どうであったろうか?

個人的意見では、成功といっていいと思う。


もちろん満点ではない。


しかし、成功。


これは昨夜、吉村代表と電話で語り合ったのだが「われわれはときとして、手段と目的を取り違えはしなかったか?」という疑問符があった。

ここは苦しいところで、いくら目的は町おこしと言ってみても、手段であるお化け屋敷に人が集まらず、人から見向きもされなかったら、町おこし以前の問題となってしまう。


幸いなことに、去年より一週間も期間が短かったのに、去年1万8000人であった来客数が、今年は2万2000人と大幅に増えた。

これは去年の経験や学習はもちろんのこと、地元商店街の人たちの協力が大きい。

当たり前の話しだけど「町おこし」は、やはり「町の人たちの協力」がないと、本当に苦しいと思う。

町おこしをやろうとすると、多くの自治体や団体は、地元以外から観光客を呼ぶことを考えるらしい。

それは間違っていないけど、もっと大事なのは地元が盛り上がることだと思う。

長期のイベントではリピーターがいないとやっていけないのだから、地元の人が何度でも来たいと思っていただかないとどうにもならない。

地方で町おこしで失敗するのは、目線が遠方からくる観光客ばかりになって地元を置いてけぼりにしてしまうところもあると思う。


それとぼく個人の考えなのだけど、同時に働いている人、手伝ってくれる人が楽しく盛り上がらないと絶対にダメ。

今回はどうだったのか?

これも吉村代表と昨日電話で話していたことなんだけど、「はたしてバイトの人たちまで“町おこし”としてやっているという意思は伝わっただろうか? ただの楽しいバイトと思ってきていただけではなかっただろうか?」なんて話しをした。

ぼくには、どこまでバイトやボランティアの人たちに“町おこし”の意識があったのかはわからない。

ただ、“楽しい”というのは、こういったイベントごとの場合、必要条件だと思う。そういう意味では「楽しいバイト」であったとすれば良かったと思う。ただ、町おこしとしての意識がどれだけあったかはよくわからない。

そういった意識がなかったとしたら、それはわれわれの説明不足であろう。


また、こんなこともあった。

朝、8時半くらいにぼくとお化け役のハカルくんがお化け屋敷に入る。そこから10時までに開店準備をするのだけど、ある人が「バイトの人たちにもう30分早く来てもらって手伝ってもらったら?」といってくれた人がいた。

しかしぼくは「NO」といった。理由はカンタン。彼らの労働契約は朝の10時から。時給で働いている人に無給で30分早く入ってもらうわけにはいかない。

間違いなく彼らはぼくが「30分早く来て」といえば、文句も言わずに来てくれたと思う。でもそうさせるわけにはいかなかった。

それでなくても【町おこし】という美名があり、無給でやってくれている人がいる中、そういった好意に甘えていると、たやすく「明るいブラック企業」と化してしまうおそれがあるのだ。これは注意したほうがいい。

それでも、彼らはぼくが何も言わないのに、だまって手伝ってくれた。

お化け屋敷が終わるのは夜の8時か9時。その時間がきたら、彼らの労働時間は終わる。

ぼくは、お化け屋敷が閉店したあとも仕事が残っていて、いろいろ後片付けをする。

それを横目で見ていたバイトくんたちが、何も言わないのに手伝ってくれた。

うれしかったしありがたかった。正直そのときぼくは彼らの好意に甘えた。

ただ、こういったことが当たり前になり、やがてそれが義務化しないように気をつける必要があると思う。

【町おこし】というのは、美名のもとこういった好意や協力が義務化したり強迫化するおそれがあると思ったしだいです。

ここらへんはホント、難しいねえ。


来年、岐阜でお化け屋敷をやるのかどうかは知らない。

でも、みんなみんながんばったなあ。


特に吉村代表。

あなたは他の人の数十倍の苦労をしたと思う。お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

ま、こんど東京にきたらゆっくりと飲みましょう。



巨椋修(おぐらおさむ)拝