ここだけの話しですが、ぼくは昔、地獄に住んでたことがあるんですよ。
地獄っていっても、この世とあまり変わらないんです。
ちょっと違うなあってところは、警察官が虎柄のパンツをはいているくらいでしょうかね。
婦人警官なんて、ラムちゃんの格好ですから。
もうコスプレの世界ですから。
ただ、スタイルがいい婦人警官は少なくて、ほとんど高木ブーのカミナリ様みたいな人が多いから、見ていてそんなに楽しいもんじゃないですよ。
市長と、警察署長と、裁判長を兼ねてやってるのがエンマさんって人なんですけど、多忙らしくてね。相当ストレスが溜まってるらしいんですよ。
で、エンマさんがストレス解消にやっているのが、人の舌を引っこ抜くってことなんですけど、それだけ残酷なことをやっていても、市民からは好意的に見られてますね。
ほら、地獄って悪党が行くところでしょ、ほとんどの人が二枚舌なんですよ。
だから舌を抜かれた人は正直者になるわけで、でもやっぱり悪党ですから、正直に悪事を働くわけです。
あ、地獄において悪事を働くっていうのは、正業についているのと同じですから、賞賛されることなんです。
まあ、他人のものを盗んでも盗み返せばいいだけですし、殺しても地獄ではすぐに生き返りますから、どうってことないんですけどね。お互い様ってことで。
あと、地獄の人ってMの人が多いですね。
そう言う人は、わざと警官に捕まって針の山を歩いてみたり、火の海に飛び込んでみたりしてますね。
そういう人が多いせいか、警官って結構ストレスがたまるみたいなんですよ。
そういう警官とかは、民間のクラブでいじめられて喜んでるみたいですね。
まあどこの世界でも、行政がやるより民間の方がサービスがいいんですよ、こういったクラブも一緒。
民間の方が、虎柄が似合う女の子が多いしね。
だから結構流行ってるみたいですね。そういったクラブ。
おもしろいことに、針の山を歩くとか、火の海に入るとかって、一種の苦行なわけです。
お坊さんの修行と一緒だから、ときどき悟りを開いちゃう人がいるんですよ。
そんな人は、極楽に引越したりするんです。
それからあまり大きな声じゃあ言えないんですけど、極楽浄土から刺激を求めてツアー客が来たりもします。
刺激に慣れてないせいか、はしゃぎすぎたりマナーが良くない人が多くて、地獄ではあまり極楽浄土の人って、評判よくないんですよ。
まあ基本、地獄の人はいつも大声で笑っているんですけど、極楽では大声禁止で、微笑む程度なんですよ、だから極楽の人にとって、地獄は心の底から笑える楽しい場所なんですよね。
どこでも住めば都っていいますけど、地獄ってわりと自由ですし、刺激が多いんです。
ぼくは割と好きなところなんですが、最近は人が増えちゃってねえ、家賃や物価が高くなってきてるんですよ。
だから仕方なく、この世に戻ってきたんですけどね。
この世で、もう少しお金を貯めたら、また引越ししたいと思っているんです。
極楽にも住んだことがあるんですけど、その話しはまた後日しますね。