中学時代、もの凄く嫌われ者の先生がいたんだ。
体罰なんて当たり前で、殴られて鼓膜を破られたり、歯を折った生徒もいた。女生徒なんかも何人か犯されて中絶した子もいるみたい。
いよいよガマンできなくなって、オレ一度教室の中で
「あのクソ教師! 殺してやる!」
って大声をあげたことがあったんだ。
そしたらクラスのみんなが、一瞬シーンとなって、その後、少しずつ小さな拍手が起きてきて、やがて大喝采だよ。
もうみんな口々に
「よく言った!」
「殺るからには完全犯罪を目指せ!」
とか言って励ましてくれたもんだ。
この噂はたちまち校内に広まってな。
もう、オレ様はヒーローよ。
なけなしの貯金をオレに手渡す者。
宝物である『姫路城』のプラモデルをオレにくれる者。
せめてものハナムケにと、やらせてくれる女生徒もたくさんいたな。
オレは綿密に計画を立てたんだけど、難しいのはアリバイ工作だったね。
さて、こんなに大騒ぎになると、学校の先生方も気付くもんだ。
オレは職員室に呼ばれたよ。
そして数人の先生に取り囲まれたね。
そしてひとりの先生が言ったんだ。
「おいお前、○○先生を殺るんだってな。
「協力するぞ!」
その後?
ああ、なんでも嫌われ者の先生は、行方不明になったらしいよ。
行方不明になった日?
ああ、オレはちゃんと学校に行って授業を受けていたさ。
そのことは、学校中の先生が証明してくれているし、クラスメイトもみんな証言してくれたよ。
いやだなあ、なに疑ってんのよ。