巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

ヒーローになった日

中学時代、もの凄く嫌われ者の先生がいたんだ。


体罰なんて当たり前で、殴られて鼓膜を破られたり、歯を折った生徒もいた。女生徒なんかも何人か犯されて中絶した子もいるみたい。


いよいよガマンできなくなって、オレ一度教室の中で





「あのクソ教師! 殺してやる!」





って大声をあげたことがあったんだ。


そしたらクラスのみんなが、一瞬シーンとなって、その後、少しずつ小さな拍手が起きてきて、やがて大喝采だよ。


もうみんな口々に








「よく言った!」






「殺るからには完全犯罪を目指せ!」








とか言って励ましてくれたもんだ。


この噂はたちまち校内に広まってな。


もう、オレ様はヒーローよ。


なけなしの貯金をオレに手渡す者。


宝物である『姫路城』のプラモデルをオレにくれる者。


せめてものハナムケにと、やらせてくれる女生徒もたくさんいたな。


オレは綿密に計画を立てたんだけど、難しいのはアリバイ工作だったね。


さて、こんなに大騒ぎになると、学校の先生方も気付くもんだ。


オレは職員室に呼ばれたよ。


そして数人の先生に取り囲まれたね。


そしてひとりの先生が言ったんだ。


「おいお前、○○先生を殺るんだってな。




















「協力するぞ!」















その後?


ああ、なんでも嫌われ者の先生は、行方不明になったらしいよ。


行方不明になった日?


ああ、オレはちゃんと学校に行って授業を受けていたさ。


そのことは、学校中の先生が証明してくれているし、クラスメイトもみんな証言してくれたよ。


いやだなあ、なに疑ってんのよ。