巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

再録富山奇行7 なぜこんなにマスコミの方々が〜

再録富山奇行7 なぜこんなにマスコミの方々が〜

※これは10年前、自主映画「不登校の真実」を撮ったときの日記。
久しぶりに読んだら面白かったのでアップします。(笑)

ふらふらとしながら、S高校に戻ると、なんとなくさっきと雰囲気が違う。

なんとなく人が多いのだ。

しかもザワついている。

しかし我々としても、まだ富山二日目なので、この学校の事情などわからない。学校に戻ると、そのまま校舎2階にある和室に通される。

みると10数人の人たちが、たむろっているではないか……

見ると、その人たちの中で、ある人はマイクを持ち、ある人はテレビ用の巨大なビデオカメラを持っている。

そう……

この人たちは、我々を取材にきたマスコミの方々であったのだ。

その数




新聞社5社

テレビ局3局





テレビ局の人は、カメラマン、記者、マイクなど数人で行動するから、その数はけっこう多い。

オレとアベは、まるで何かの犯人のごとくマスコミの方々に取り囲まれていた。


その状態のまま、テレビ局の取材を3軒受け、オレが取材を受けているシーンも今度の映画のワンカットか、あるいはメイキング作品で使おうと、アベにもカメラを回してもらう。

ニュースキャスターにインタビューをされるというのは、生まれて初めての経験なのだが、スラスラと言葉がでてくる。

なんのことはない実は

昨夜の酒がまだ抜け切れていないだけで、つまりは酔っ払って話しているのだ!

そうこうしているウチに、ミヤカワ氏が代表をつとめるフリースペース『麦の根』の若者達もやってきた。

彼らとのディスカッションをやるもの、今回の旅における大切な仕事のひとつなのだ。

彼ら、実際に不登校を経験した若者達からインタビューをし、話し合いを持ち、そのシーンを映画に取り入れていくという作戦である。



それを、多くのマスコミのみなさんがいる前に行うことになった。

これはこれで、実におもしろいことなので、そのまま収録を続けることにする。

ただ、気をつけなければならないのは、実際に不登校をやっている若者の中には、マスコミに顔が出ることを極端に嫌う人もいる。
そして、いまだに心に傷を負っている人も少なくないため、彼らが我々の映画やマスコミに出ることについては、できうる限りの心配りをする必要があるのだ。

このときオレは数人の若者と雑談や、不登校体験を聞くことができた。

ついでに取材に来られたマスコミの方々に、逆取材を試みる。

ただ、マスコミ関係者としての意見ではなく、一個人としての意見をなるべく聞くようにしたつもりである。

多くのマスコミの方に取材をされ、また逆取材をするという作業は、数時間に及び、二日酔いの醒めぬまま突っ走っている感じであった。

そのときフト、いつも一台のカメラがオレたちを捕らえ続けていることに気がついた。

それは、取材の合間を縫って、ジュースやビールを買いにいったときのことだ。

一人のカメラマンと前述のI記者がついてくるではないか。

なぜかオレがビールやジュースを買っているところも、カメラにおさめている。

なぜなんだろう?

それとなくI記者に聞いてみる。

「あれ? 言ってませんでした? ミヤカワさんには、伝えてあるんですどね」

「なにをです?」

「今回、ウチの局で皆さんを密着取材させていただくことになりまして……」



「エッ……、密着……?」



つづく