巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

トランプはヒトラーになりえるのか?


●メキシコ国境の壁とアウトバーン

 いろいろなところでトランプ新大統領とヒトラーとの比較が見られる。例えばローマ法王は、トランプ米新大統領就任の際に「ヒトラーが権力を盗んだのではなく、『壁や鉄条網で自分たちを守ろう』と国民が彼に投票したのだ」と語り、トランプ大統領ポピュリズム大衆迎合主義・大衆扇動主義)に気を付けるように語ったという。


 確かにトランプ氏は大統領になるや、メキシコ国境に壁を建てることを大統領令に署名した。


 マスコミのコメンテーターはこのことに否定的な意見ばかりだが、私はうまい考えだと思っている。


 メキシコとの国境沿いは長さにして約3200キロあるそうだが、日本最北端の択捉島カムイワッカ岬」から、最西端の与那国島「西崎(いりざき)」までの直線距離は3264kmだそうだから、ほぼ日本列島と同じ長さの壁を建てようとしていることになる。


 となると、これは相当な大工事であり、確かに雇用を増やす効果にはなるであろう。


 これとソックリなことをアドルフ・ヒトラーは第二次大戦前に実際に行っているのだ。それは高速道路アウトバーン建設。当時のドイツは失業率30%とも40%ともいわれる大不況! 全労働者数の3分の1にあたるドイツ人が失業しているという絶望的状況を、ヒトラーは周囲の経済学者が大反対するなかアウトバーンをはじめとする公共事業を大々的に行い、わずか4年でほぼ失業者をなくし、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国にまで立て直したのである。


 よってトランプ氏の国境の壁は、アメリカにとって内需をもたらす可能性は大いにある。


 また壁の建設費はメキシコとの輸入関税でまかなうそうだから、メキシコとしてもそれには従わざるを得ない。なかなかうまいことを考えたものだ。


 
●トランプ氏は選挙のときから不法なことはいっていなかった

 さらにトランプ氏は中東・北アフリカ7カ国の出身者の入国を一時停止する大統領令に署名、シリア難民は無期限で米国への入国を認めず、他の国から来る難民も受け入れを制限するという。


 メキシコ国境の壁にしても、この移民制限にしても、日本のマスコミはいかにも悪事をやろうとしているように語るコメンテーターが多いが、実際のところ、移民を受け入れるかどうかは、その国の問題であり、トランプ氏の移民制限に「がっかりした」と語る日本のマスコミは、自国が基本的に移民を受け入れていないということを忘れているのではないだろうか?


 日本は、2014年の難民受け入れ認定わずかに11人のみという、世界に冠たる移民拒否国なのだ。一方、トランプ氏がいっているのは、メキシコからの不法移民であり、実際に世界で起っているISなどの自爆テロ防止のためとい大義名分がある。また不法移民を強制送還も当たり前のことで、なんらおかしなことではない。


 ちなみにトランプ夫人はユーゴスラビアからの移民であり、元妻のイヴァナ・トランプもチェコの移民であることからも、トランプ氏が正当な手続きを踏んでの移民を否定していないことがわかる。




●トランプ反対派への違和感

 トランプ氏が新大統領になると、アメリカはもちろん世界中で反トランプデモが起った。特にアメリカの反トランプデモは、「選挙をやり直せ!」というもので、これは実におもしろい風景であった。


 アメリカは民主主義が正しいと信じ、全世界に民主主義を広めようと戦争すらも辞さない国である。そのアメリカが圧倒的多数が支持した新大統領がまだ何もしないうちに、否定し選挙のやり直しを訴える人たちがたくさん出てきたのだ。これは明らかに民主主義の否定である。


 その民主主義の否定を、ハト派と呼ばれ共和党以上に民主主義的であるはずの民主党支持者が中心になって行っているのだから、なんかおかしい。


 例えばフェミニズム団体やLGBT(同性愛)団体も、キリスト教以外の宗教団体、反トランプデモに積極的に参加しているようだが、トランプ氏は働く女性を否定してはいない。それは元妻のイヴァナ・トランプ氏は、トランプ氏にインテリア関連会社、タホテル、カジノの運営を任したことや、娘のイヴァンカ氏もまた実業で敏腕をふるったことが知られているから、保守的な女性を望んでいるわけではなさそうだ。


 さらにイヴァンカ氏は結婚の際に、夫がユダヤ人であるためキリスト教からユダヤ教に改宗しているが、改宗にトランプ氏が反対したとは聞いていない。


 トランプ氏の女性蔑視発言はいまから10年以上前にテレビ番組の男だけのロケバス内で盗聴されたもの。下品で破廉恥な発言だが、男であろうが女であろうが同性同士のときはそういった発言をするものではないだろうか?


 特に最近流行りの女子会では、男性を1人混ぜることが多いという。そうしないと女性の猥談は男性以上に過激でお下劣であるため、男を混ぜておかないと歯止めがかからなくなるかららしい。


 LGBTについても、トランプ氏は擁護発言や、選挙中にレインボーフラッグを持って壇上に上がるなどをしている。



http://life.letibee.com/donald-trump-lgbt-2/より引用)


 また反トランプデモの際、暴徒化し放火やガラスを割るといった行動をするというもの関心しない。


 これらのデモに関してトランプ氏は「平和的な抗議デモは民主主義の証しだ。必ずしもいつも賛成ではないが、私は人々が自分の見解を表現する権利を認める」と余裕しゃくしゃくである。




(http://www.sankei.com/world/photos/170121/wor1701210056-p3.html より引用)



 どうやら反トランプの人たちは、トランプ氏の政策に反対なのではなく、トランプ氏がトランプ氏であるだけで拒否反応を示すようだ。


 しかしこれも一種のポピュリズム大衆迎合主義・大衆扇動主義)であるようだ。




●日本の反トランプ派への違和感

 日本のリベラル層もまたトランプ氏について、おかしな反応をしている。日本のリベラル層の主張としては、TPP反対、米軍は沖縄から出ていけ! というもの。


 まさにそれを実行しようとしているのが、トランプ氏なのになぜかリベラル派の人の中には「トランプけしからん!」って言ってる。


 これはアメリカの反トランプ派が、トランプ氏の政策に反対なのではなく、トランプ氏がトランプ氏であるだけで拒否反応を示しているのと同じなのね。


 

 ちなみに私は開国派なのでTPP賛成!



 そして攘夷派でもあるので、米軍は沖縄から帰ってほしいと思ってる!





 ただし、現実的には米軍が沖縄から去ることはまずない。「米軍は沖縄から去ってくれ、日本は日本自ら守る」といってもまず沖縄から去ってはくれない。


 日本とアメリカってベリー来航からいままで、因縁浅からぬ関係でね、日本が大東亜戦争で戦艦ミズーリポツダム宣言を受諾したとき、ミズーリにはためいた星条旗は、幕末に動乱をもたらしたマシュー・ペリーの黒船にはためいていた星条旗をわざわざ持ってきたのだ。


 なぜか? 黒船来航は表向き、捕鯨船が日本に寄港して食料や水、燃料の補給できるように開国を要求すると言われているが、本当の目的は日本についての情報をなるべく多くアメリカ合衆国にもたらし、ゆくゆくは征服占領し、植民地にすることであった。


 だからこそ幕末の志士は命をかけて攘夷運動をしたのである。




●トランプはヒトラーになるのか?

 話しを戻そう。トランプ氏はヒトラー化するのだろうか? それはこれからじっくりと彼の政策とその成果を観察する必要がある。


 ヒトラーの場合、大胆な経済政策が大成功し、30%以上の失業率を無くし世界2位の経済大国にした。そのためドイツ国民はこぞって「ハイル・ヒットラー」を叫んだ。


 ヒトラーはドイツ大衆に、わざわざ敵を作ることでドイツ大衆の心をつかんだ! 「我々ドイツ人は世界一優れた民族である! 劣っているユダヤ人、ロマ人(ジプシー)、精神障碍者、同性愛者は殺せ!」と、まるでドイツ大衆が苦しい思いをするのは、彼らせいだとばかりに叫ぶことで、ドイツ人の自尊人をもたせ、国民は団結するように導いた。


 はたしてトランプ氏は、そこまでアメリカ国民のハートをつかむことができるのだろうか?


 選挙結果を見る限り、ヒラリー氏に圧倒的に勝利したトランプ氏は、反トランプ派がパニックを起こしてデモをするくらいにショックなのであろう。


 しかも何をしでかすかわからない。


 トランプ氏というこれまでの常識から外れた世界権力者が現れ、世界がどう変わるのかはわからないが、ヒトラーのようにはならないであろうと思っている。


 ちなみに、トランプ氏の就任前支持率が40%で歴史上最低とか言っているけど、そんなの真に受ける人がいるのだろうか? 


 同じようなことで大統領選で圧勝したのがトランプ氏であった。案外、本当の支持率は70%くらいあるのではないだろうか?


 私はトランプ氏支持でも不支持でもないが、しばらくは目が離せないなあと思っている次第である。





巨椋修(おぐらおさむ)拝


わたし(巨椋修(おぐらおさむ))が監督した映画『不登校の真実〜学校に行かないことは悪いことですか? 』DVDになりました。
精神科医不登校に携わる皆さんにインタビューをしており、問題解決のヒントになれば幸いです。
TSUTAYA』のドキュメンタリーコーナーにも置かれておりますのでご覧になってください。


●巨椋修(おぐらおさむ)の著書



ビックリ!おもしろ聖書物語 (リイド文庫)

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新版 丹下左膳

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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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