巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

謎の日本人とユダヤ人

●古代ユダヤ人の歴史

子どもの頃から聖書に親しんでいたせいか、昔からユダヤ人に関心があった。


日本には「日ユ同祖論(日本人とユダヤ人は元々同じ一族という説)」というものがあり、ユダヤ人も肯定している人が結構いるらしい。



いろいろと調べてみると、そうと思える点もないことはないのだが、一点、私が疑問に思っていたことがあるそれは後で述べる。


古代ユダヤ人は、かつて南北に分かれていた時代がある。イスラエルの大王ソロモンの死後、紀元前922年ごろに北のイスラエル王国と南のユダ王国に分裂したのだ。


12あるユダヤ民族のうち10支族が北のイスラエル王国に、2支族がユダ王国にと別れることになった。


ところが紀元前722年にアッシリア王国から北のイスラエル王国は攻め滅ぼされてしまう。いわゆる「消えた10支族」である。そのとき滅ぼされた10支族はどうなったかというと、ほとんどはアッシリアに連れていかれ、アッシリアに定住したのである。


南のユダ王国は、後にバビロニアに滅ぼされ、ユダヤ人たちはバビロニアに連れて行かれ捕囚となる。いわゆるバビロン捕囚である。

ややこしいが、後に北の10支族が住んでいるアッシリアバビロニアに征服されてしまう。


やがてバビロニアペルシャに滅ぼされると、ペルシャに住んでいた123支族は再びエルサレムに住むことが許されるようになる。


新約聖書の中で、ユダヤ人たちがサマリア人たちを激しく軽蔑し差別する表現が出てくるが、サマリア人とは。このときエルサレムに帰らず、サマリヤの町に残り、異民族と混血したためと考えられている。




そのエルサレムに帰ってきた人たちが、現在のユダヤ人だとされている。ちなみにイスラエルに住んだユダヤ人たちはやがてローマ帝国に支配され、ローマ帝国から独立しようと戦争を仕掛け、逆に負けてしまいユダヤ人たちの世界放浪がはじまるのだ。



ユダヤ人の宗教指導者、なんか失礼な言い方かも知れないが大天狗様に似てる)



弥生人が消えた10支族か?

日本人とユダヤ人が同族であるという説『日ユ同祖論』とは、ローマ帝国に負けて世界放浪をしたユダヤ人が日本にたどり着いたというものではない。


失われたイスラエル10支族のどれかが・・・ あるいはすべてかも知れないが、安住の地を求めてシルクロードを通り日本に住み着いたのではないか・・・ という説だが、先に述べたようにイスラエルの10支族は失われたのでも消えたのでもなく、合流したので、この説は間違いなのだが(証拠として新約聖書に失われたはずの10支族の女が登場したり、使徒が10支族に手紙を書いている場面が出てくる)、それでは面白くないので、仮に放浪の旅に出たユダヤ人の支族がいたとでもしておこう。


ちなみにこの『日ユ同祖論』言い出したのは日本人でもユダヤ人でもなく、明治時代に日本にきたスコットランド人である。


北のイスラエル王国が滅亡した紀元前722年ごろの日本は、縄文時代の終わりごろであり、一説によるとこの当たりの時代に弥生時代がはじまったのでは? という学者もいる。


そしておもしろいのが、『日本書紀』によれば神武天皇が即位する(神武元年正月朔)は紀元前660年となっているのだ。



月岡芳年画『神武天皇図』


初代天皇である神武天皇は、高天原から天降ったニニギの曾孫で、東の美しい土地を目指して日向から宇佐・筑紫をを経由して瀬戸内海に入り、大和を目指したという。


そして、いまの大阪と奈良の県境である生駒山あたりで先住民の王であろう長髄彦(ながすねひこ)戦いとなったが大苦戦したため、とりあえず長髄彦との戦いは避け、和歌山から大和(奈良県)に入り、国を作ったということになっている。


この物語を『神武東征』というが、物語は行く先々の部族との戦争や、嵐にあったり遭難しそうになったりするなかなかの冒険旅であったようだ。


果たして神武天皇ユダヤ人であったかどうかとか、実在の人物であったかどうかは不明だが、古事記日本書紀の日本神話が、天津神とされる渡来人が、国津神とされる先住民を征服していく物語であるというのは、通説となっている。



●やはり謎だ・・

さて、こうやって見ると、いかにもユダヤ人が日本に来て大和という国を作ったと思えるかも知れない。


しかし、多少なりとも歴史にくわしい人なら知っているユダヤ人の宗教が、日本人にまったくといって伝わっていないことが謎なのだ。


古代ローマ帝国から迫害されたユダヤ人は、その後世界中を放浪するわけだが、例えばキリスト教から徹底的といっていいほど迫害され、虐待され、いじめぬかれてきたにもかかわらず、彼らはユダヤ教という宗教を捨てなかった。


ユダヤ教とは、イスラム教、キリスト教の元となった世界でもめずらしい一神教の宗教で、日本人というのは、まったく逆の八百万の神々の多神教の民族。


もし仮に、本当に失われた10支族であるユダヤ人たちが日本にやってきたとして、彼らは信仰を捨てるだろうか?


もし仮に、彼らが日本神話の神々であるとして、信仰を捨てるだろうか?


アッシリアに滅ぼされた北のイスラエル王国に残ったユダヤ人たち(サマリア人)は、アッシリア人たちと混血するが、驚くべきことに、現在でもユダヤ教の信仰を捨てていないのだ。


しかもサマリア人は、キリスト教徒から迫害され続け、20世紀の初めには150人くらいまで減ってしまったというのに・・・
(ちなみに現在では700人くらいに回復しているらしい)


そんな人たちが、そうそう信仰を捨てるとは思えないのだ・・・










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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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