ちょうど日ユ同祖論(日本人とユダヤ人の祖先は同じという論)について考えていたとき、三笠宮崇仁親王がお亡くなりになったというニュースが飛び込んできた。昭和天皇の実弟である。
ある意味数奇な人生を歩まれた方で、大東亜戦争中は陸軍少佐、航空総軍参謀という職業軍人でありながら、戦争終結のために働き、戦後は終始して戦争反対者であったため「赤い宮様」といわれ、無知なウヨクの中には、命を狙ったりする者もいたらしい。
戦後は古代オリエント研究に没頭。内容は「日本神道」と「原始キリスト教」の比較研究であったという。
「日本神道」と「原始キリスト教」と言えば、これはずばり日ユ同祖論の研究ではないか。
以前にも日ユ同祖論についての、個人的意見を書いたことがある。
私個人の意見としては、日ユ同祖論は、もしかしたらかつてユダヤ人(イスラエル人)が、日本にたどり着いたことがあるかもしれないし、もしかしたら多少の影響があるかも知れないが、それはそれほど強いものではないであろうと思っている。
理由はカンタン。ユダヤ人をユダヤ人たらしめている、世界でも極めて少ない一神教の教えが、まったく日本に伝わっていないからだ。
ユダヤ人はどんなに迫害されても、ユダヤ教の教えを捨てない民族であるのだから、そうであれば日本にそういう歴史が残っていなければおかしい。
ちなみに中国では6世紀くらいからユダヤ人が住み着き、ユダヤ教の教会を作っ信仰を捨てなかったという。しかし日本にはそんな記録などまったくない。
日ユ同祖論については、ヘブライ語(イスラエル語)と日本にたくさんの共通した言葉があったり、天皇家の菊の紋章が古代オリエントの遺跡にたくさん発見されていたりする。
(パキスタン、古代シュメールのタッタ遺跡)
(エジプト、ツタンカーメンの墓で発掘)
はたしてここれらが本当に【菊】であるかどうかさえ、よくわからない。他の花や太陽である可能性もあるからだ。
また、天皇家の紋章がユダヤ系財閥の、ロスチャイルド家の紋章と類似しているという人もいる。
(天皇家の紋章とされているもの。事実かどうかは不明)
(ロスチャイルド家のシンボル)
しかし天皇家の紋章が本物だとしても、これは明らかに明治以降に作られたものだ。ユニコーンとライオンが二頭のライオンが向かい合っているという紋章は、ヨーロッパでは珍しいものではない。
(英国王家の紋章)
(スウェーデンの国章)
しかもロスチャイルド家が金持ちになるのは18世紀と比較的近代になってからで、それまではゲットー(ユダヤ人居留地)に住む貧しい家系であり、紋章を持っていたとは考えにくい。よって、ロスチャイルド家が成り上がって、貴族階級に入ったとき、それらヨーロッパの貴族たちの紋章を参考にロス・チャイルド家の紋章を作ったのであり、ユダヤの紋章をマネしてヨーロッパの王侯貴族がユニコーンとライオンの紋章を作ったとは考えにくい。
なぜなら、ユダヤ人はヨーロッパにおいて、常に差別の対象であったからだ。
なんてことを考えているとき、三笠宮崇仁親王がお亡くなりになったというニュースが飛び込んできたのでありました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
巨椋修(おぐらおさむ)拝