巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

カビないパン、腐らないハンバーガーについて

昨今、「山崎のパンはカビない! これは保存料や添加物をふんだんに使っているためだから食べてはいけない!」


だの


マクドナルドのハンバーガーは腐らない! これも保存料や添加物をふんだんに使っているから食べてはいけない!」


といった流言が飛びかっているみたいです。



ホントにそんなに危険なんでしょうか?



まず、山崎のパンにせよ、マックのハンバーガーにせよ、会社のHPによれば、両方とも保存料は使用していないとのこと。


山崎パンのHPからちょっと引用してみましょう。

Q6.カビ発生を抑える食品添加物はありますか?
食品の腐敗や変敗の原因となる微生物の増殖を抑制し、食品の保存性を高めるために使用される添加物としては、保存料と日持向上剤があります。食パンのカビ発生を抑える保存料としては、プロピオン酸カルシウム等がありますが、弊社では風味等への影響もあり保存料は使用しておりません。日持向上剤は保存料ほど微生物の増殖を抑制する効果は大きくありませんが、食品の品質を保持する効果があります。



Q7.食パンに使われている食品添加物とカビ発生との関連はありますか?
弊社食パンで使用しております乳化剤、イーストフード、ビタミンC等の食品添加物は、保存料と日持向上剤のいずれでもなく、カビを抑制する目的をもって使われているものではありません。しかし、パン生地中ではパン酵母発酵改善効果を有する食品添加物イーストフード、ビタミンC)により、パン酵母の発酵が促進され、アルコールや有機酸などの発酵生成物が多く生成されるため、食パンの風味が向上すると共にカビの生育抑制効果も得られます。
乳化剤はパン生地中の油分と水分を均一にする働きがあり、パンのやわらかさを保ちます。
イーストフードはパン生地の中で、パン酵母の発酵を促進するための栄養やpHを調整するなどの成分です。
ビタミンCは一般には栄養成分ですが、パン生地中では品質改良剤として、小麦タンパク質であるグルテンに働き、パン生地を形成する働きがあります。


とのこと。


マクドナルドのHPによると、マックの肉は「JAS上級」の肉を使っているとのこと。


JAS上級」とは 牛肉以外の肉や、調味料・香辛料以外の食品添加物は一切使用できず、牛肉の重量は全体の95%以上の規格を言います。マクドナルドはさらに牛肉100%、調味料や香辛料、つなぎさえもカットしており、さらに上の品質と言えます。


このHPの記事を信じるかどうかは皆さん次第。ただ、こういったHP等で虚偽の記述があれば、相当なスキャンダルになるとだけ、いっておきましょう。



では、なぜ山崎パンマクドナルドのハンバーガーはカビなかったり、腐らないのか?



え〜、いまの季節(春~夏)なら、ほうっておけば、普通にカビたり腐ったりします。ただし……


乾燥した清潔な部屋で保存した場合、カビも生えず腐らないことがあります。


なぜか?


ドライ食品化するのですよ。


いわゆる乾物です。干し肉やドライフルーツが腐らないのと一緒。それだけのこと。


さらにいえば、とても衛生に気をつけて作っているため、ばい菌が食品に付着することが少ないからです。


すぐにカビたり腐ったりする食品は、不衛生な部屋に保存しているか、作っている最中が不衛生っていうことです。


すぐに腐るパンやハンバーガーのほうがよほど危険なのは、言わなくてもわかること。



また、「怖いのはパンに入っている臭素酸カリウムなのだ、! 臭素酸カリウムは、発がん性があるため、海外では食品に禁止されているくらいなのだ!」という人も多いみたいです。



低品質な日本産小麦粉でも、臭素酸カリウムを使用するとふっくらし食感が良くなるので使われているらしい。ただし、焼きあがった時点では、パンには分析により検出されないレベル、0.5ppb未満ということで、残留は検出されないレベル。


「パンには残留しないといっても……」と、思う人は、まあパンは食べないほうがいいでしょう。不安を抱いたまま食べることもないし。



ただし、臭素酸カリウムというのは、水道水にたくさん入っています。



水道水の臭素酸濃度の基準は10ppb。


パンの場合、臭素酸の残留は禁止されていて、分析により検出されない0.5ppb未満で出荷。



つまり水道水にはパンの20倍も臭素酸カリウムが入っています。




そしてほとんどの日本人はその水道水を飲み、水道水でごはんを炊き、味噌汁を作り、料理を作っています。



おそらく、パンを食べる数十倍倍〜数百倍は水道水から臭素酸カリウムを現実的に摂取をしていることになりますので、臭素酸カリウムが怖いのなら、パンを食べない決断よりも水道水を一切使わないようにしたほうがリアリティがあるということになります。



他にも、「カット野菜は薬品漬けのうえに栄養分が流れてなくなっている」なんていう流言もあるみたいですね。


カット野菜は、野菜を切った後、次亜鉛素酸ナトリウムという消毒液やプールの消毒液に使う塩素水に漬けて殺菌します。


なぜ殺菌するのかというと、食中毒の危険がある大腸菌や微生物などのばい菌を殺菌し洗い流すためです。


栄養は、水溶性の栄養分はある程度減りますが、まったくなくなるということはありません。



山崎パンにせよマクドナルドにせよ、カット野菜にせよ、その他の食べ物にせよ。消費者が食の安全のため、もっとも気をつけないといけないのは、食中毒でありましょう。



こういった流言を流している人は、もしかしたら世の中に食中毒を流行らせたいのかなとさえ思ってしまいます(苦笑)。



中には「山崎パンの社長は自社のパンは食べないで吐き出すそうだ」という流言もあります。


食品添加物が怖くて吐き出すといいたいのでしょうが、この話しのソース(出所)がどこかはわかりません。


この話しが本当かデマかはわかりませんが、ワインソムリエや利き酒師も、利き酒をするときにお酒を吐き出しますが、それはどうなんでしょう? もし仮に社長が太りたくないために飲み込まないだけかもしれません。
どちらにせよ、それは悪いことなんでしょうか?



どうも、これらの流言には妙に子どもじみた【かたよった正義感】のようなものを感じるのはわたしだけでしょうか?



また、子どもを持つお母さんとか、普段から不安を強く抱えている人は、こういう話しを聞くと「え?」と思ってしまうのも無理からぬことだと思います。



東日本大震災のとき、いろいろなデマが出回ったのは不安ゆえでありましょう。それらのデマをメールやネットで拡散してしまった人も「よかれ」と思ってやった人も多かったと思います。



でも、山崎の社長の話しなどは、ネットのデマを真に受けて、スマイリーキクチさんというタレントさんをネットで誹謗中傷し続け逮捕された人の話しまではいかないとしても、ちょっと近いものを感じたりします。



まあ、これらの話しを主張している人は、これらを主張することを【正義】と思っているのでしょうけれど……



そして、これらの話しを信じるかどうかは、ま、あなた次第ということですね。




巨椋修(おぐらおさむ)拝