※これは10年前、自主映画「不登校の真実」を撮ったときの日記。
久しぶりに読んだら面白かったのでアップします。(笑)
富山の人に聞くと、富山県人はラーメン好きが多いそうだ。
そして、富山のラーメンはウマイとおっしゃる。
実のところ、今回の富山奇行で行ったラーメン屋さんは、わずか2軒であり、この2軒で富山のラーメンを語ることはできない。
しかし後で調べてみると、その2軒のラーメン屋は、富山県のラーメン屋ベスト10に入っていることから、ある程度の傾向を知る手がかりにはなるだろう。
さて、これからが昨日の続きである。
オレとアベは、小腹を満たすべく、富山住民が推す人気店に行ったのである。
店の前からは、ラーメン屋独特の美味そうな香りがしている。
暖簾をくぐり、ラーメン屋に入る。
オレの場合、初めてのラーメン屋さんで頼むのは、メニューの最初に書いてあるラーメンを頼むことにしている。
一番最初に書いてあるということは、その店にあるすべてのラーメンの中でも、もっとも基本的かつ中心の味であるラーメンであろうと推測するからだ。
ラーメンが出てくる。
黒い。
ひたすら黒い。
まるで生醤油に麺が使っているようである。
しかし見てくれでラーメンを判断してはイケナイのだ。
コッテリに見えてアッサリであったり、アッサリに見えて濃厚であったりして、見た目だけで判断できないラーメンも存在するのである。
スープをすする。
う……
ある富山のラーメンについて書いた文章によれば、そのラーメン屋は“濃厚”タイプであるらしい……
確かに“濃厚”では、ある。
しかしその味は、濃厚という表現よりも、もっとふさわしい表現方法がある。
その表現とは、グルメ本では、まずお目にかかれない表現である。
しかし家庭料理では、しばしば使用される表現である。
ズバリ言おう……
しょっぱい
それも凄くしょっぱい!!
ふと前に座っているアベを見ると、ただでさえ人相の悪いアベの顔が、苦痛に歪んでいる。
いまにもテーブルをひっくり返してあばれそうな感じだ。
オレたちは、なんとか麺を食べ終わる。しかし底の沈んだチャーシューやメンマといった具は、あまりにも黒いスープのため、あとどれくらい残っているのかなど、一切見えない。
例え見えてもあまりのしょっぱさで、食べる気はしない。
もはや食べるのが苦痛でさえあるのだ。
しかし横にいる他のお客さんたちは、おいしそうに食べているではないか!!
これは一体どうしたことか?
オレたちの味覚がおかしいのか?
食べている間、オレはコップに数杯の水を飲んでいた。
オレたちはすっかり無口になって店を出た。
しばらく無言のまま歩いた。
ぼそりとアベがつぶやいた。
「コップの水をスープに入れたかった……」
同感であった。
おそらく東京の平均的ラーメンの5倍くらいは塩分があるのではないだろうか……?
とにかくしょっぱかった。
後にその店を絶賛している文章を読んだが、我々とは違う味覚の才能があるのだろう。
また、あの店を絶賛する富山の方々の味覚は我々の想像を絶した才能であるに違いない。
翌日、オレは嫌がるアベを連れて(アベはマジ本気で嫌がっていた)もう一度他のラーメン屋にいってみた。
そこのラーメンも地元では人気のラーメン屋であるという。
不味くはなかった……
でもしょっぱかった……
これも後で聞いたのだが、昔作家の椎名誠が、何かの雑誌で「富山のラーメンはまずい」と正直に書いたことがあるという。
これに対して地元の人たちは、烈火のごとく怒りまくったという話しだ。
と、いうことは、富山を舞台にした映画を撮ろうとしているオレは、いまもの凄く不利なことをしているということになる。
このサイトを読んだ富山の人は、もう二度とオレが作ろうとしている映画に協力してくれないかも知れない。でも書かずにはいられないのだ。
味覚というのは、その土地土地の文化や風俗、気候と関係しており、さらに個人の好みの世界であるのだ。
だから富山のラーメンをマズイとは言わない。
ただこれだけは、言わしていただこう。
富山のラーメンは、しょっぱい!!
(ちなみにオレは、来月にまたしても富山に行くのである。
当然、オレはまたしてもラーメンを食べるつもりなのだ。
そこで「富山のラーメンはしょっぱくない! うまいのだ!!」と怒っているアナタ!
オススメラーメン店が、あるのならぜひお教え願いたく思います)
つづく