※これは10年前、自主映画「不登校の真実」を撮ったときの日記。
久しぶりに読んだら面白かったのでアップします。(笑)
「ほらぁ、オグラさんが、コキ使うからアベさん逃げちゃったぢゃないですかぁ〜」
不登校経験者の一人が笑いながら言った。
部屋の一同がどっと笑った。
そう……
その時点までは、全員助監督アベが逃げたというのは、冗談のつもりだったのだ。
しかしアベはさらに30分たっても、1時間たっても帰ってこないのである。
携帯電話は相変わらす通じない。
オレは少しアセッてきた。
何度か携帯に電話を入れる。
やっぱり出ない。
小杉町の町長と会う時間は刻一刻と迫ってきている。
ますますアセッてきた。
「ホントに逃げたんじゃないの?」
不登校経験者がポツリとつぶやいた。
こんどは誰も笑わなかった。
携帯に電話をする。
出ない。
電話をする。
出ない。
電話をする。
出ない。
電話をする。
出やがった!!
「おめ〜ッ、いまどこにいやがるんだ。まだ富山か!?」
「は? なんのことですか?」
「まあいい。なにやってんだ?」
「撮影に使うイヤホンを買おうと思って、電気屋さんを探してるんですが、なかなか見つからなくって、いまやっと見つけたところです」
「イヤホンって、コンビニとかでも売ってんじゃねーの?」
「いや〜、自分の欲しい型がなくって、町中歩きましたよ。富山って電気屋さんが少ないんですね〜。でも大丈夫! 300メートル先に見つけましたから!!」
「ええい! その300メートル往復している時間が惜しい! いますぐ走って帰ってこい!!」
「え〜!? あと300メートルなのにぃ〜」
「ぢゃかあしいわい!! もうすぐ小杉町の町長との取材があるんぢゃい!! 遅れるだろーがぁぁぁ!!」
「は、はい、そうでした。走って帰ります」
こうして我々は、慌てて帰ってきたアベと、テレビ局の撮影クルーと共に、小杉町の町長との取材・会食へと車を発車させたのある。
つづく