巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

異文化を受け容れるとは

異文化を受け容れる……、ということについて考えている。

深く考えていない人は安易に「受け容れよう」などと発言するが、実際のところその実現は難しい。


以前、名古屋で公園に住むホームレスのダンボールハウスを強制撤去するというニュースをやっていて、反対派の人たちが抗議をしていた。

反対派の人たちの意見は、「ホームレスの人たちが可哀想だ」とか、「ホームレスにも人権がある」というものであったが、その反対派の人たちとて、自分の住む家の周りにダンボールハウスが連立したらいい顔をしないものだ。



オランダという国がある。

大航海時代に世界に1大勢力を持ったこの国は、18世紀末にフランスに併合されたり、第一次世界大戦のときに中立宣言をしたにも関らず、ナチス・ドイツに占領されたりした歴史を持っており、現在では人口1千600万人くらいの小国である。

歴史的にも日本と深いつながりがあるこの国の、徹底的な違いは、異文化を受け容れるという自由な気風が強いところにある。

異文化を受け容れるということは、自分以外の価値感を持った人々を受け容れるということで、ここが日本と多いに違うところである。

例えば、アメリカに入植する前の清教徒ピューリタン)は、一時オランダに逃げ込んできたのを受け容れたり、ナチスに追われたユダヤ人を受け容れたりしたのもオランダである。

よって現代でもオランダは異文化・異国民・異宗教の人たちに寛容であるという文化を継承している。





すなわち、オランダはアメリカ以上に自由の国であるのだ!





いかに自由であるか?





買春が認められている。





マリファナなどソフトドラッグが認められている。







安楽死が認められている。







12歳以上でお互いに合意であれば、性行為が認められている。






16歳以上のポルノ出演が認められている。







同性の結婚が認められている。






このような自由な国にして、識字率は99%と非常に高く、失業率は2.8%と日本に比べても低い。また保障制度がしっかりしているせいでほとんどホームレスがいない。

オランダという国は、自国が徹底した迫害にあってきた歴史があるせいか、異文化・異民族に対して、“受け容れる”という文化ができているといえる。

これが、日本との大きな違いとなっている。

日本は他国からの侵略を受けたことがない。

江戸時代は中国、明治以降は欧米といった文化を吸収してきたものの、それは異文化・異民族との共存共栄という方向にはいかなかった。

むしろ排斥するという方向へ向かったといえる。

明治・大正・昭和の時代に入ってきた朝鮮人を受け容れることは出来なかった。

平成の時代に入国してきたイラン人など中東の人たちを受け容れることが出来なかった。



人間集団ということを考えれば、異民族・異文化を排斥しようとするのは、むしろ当たり前のことと言える。



特に異民族・異文化を受け容れるということを、永く島国に閉じこもってきた日本人には、よく理解できない。

“受け容れる”とは、異民族・異文化を認めるということである。

それが具体的にわからないのだ。

異民族・異文化を認めるというのは、自分たちと価値観が違う人たちと共存するということである。

隣家に自分と違う価値観、宗教、風習の人が暮らすことを認めるということだ。




つまり、隣人がオウム真理教徒であろうと、自分と違うイデオロギーの持ち主であろうと、ルールさえ守っていれば認めるということである。




今後、我々それができるのであろうか?