巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

フェイクニュース信者や陰謀論者の心理とは?

2024年1月1日、石川県能登半島マグニチュード(M)7.6の地震が発生し、大きな被害が発生した。

 

と、ほぼ同時にソーシャルメディア(SNS)を通じて多くのフェイクニュースが広まっている。

 

2016年の熊本地震のときでは、「熊本の動物園からライオンが逃げた」というデマ情報をTwitterに投稿し、神奈川県に住む20歳の会社員の男が逮捕された。

 

地震が起きたときに必ず流れるデマに「人工地震」がある。さてさて、「人工地震」と「天然地震」の違いは何か?

 

 

 

 いうまでもなく人工地震の場合、天然と違い「犯人がいる」ということだ。

 もし地震に犯人がいるなら、

 怒りをぶつける相手がいるということでもある。

 誰かのせいにできるということでもある。

 自分は被害者で正義であるということでもある。

 もし自分の「論」を「陰謀論だ」と笑う人がいたとしても、そういう人に対して「政府などが隠している本当のことを知っている」ということでもある。

 

 

 

 

 誰も知らないことを声高に叫ぶ。これぞまさしく聖書に出てくる預言者ではないか、周囲の者に笑われながら箱舟を作り続けたノアであり、「悔い改めよ、終末の日が来るぞ」と訴え続けた新約聖書預言者そのものだ。

 

 

 

だが、少なくとも今日まで『終末の日』は来ていない。これは偽情報、つまり「フェイク」と言っていい。

 

 

 

「今回の地震は人工地震」などというデマ情報のはじまりは、1923年(大正12年)の関東大震災で、「西洋で地震を起こす機械がある」というデマを真に受ける人がたくさんいたという。

 

 

デマを信じる人は複数のデマを信じる傾向があるが、関東大震災のときは、「朝鮮人が井戸に毒を入れている」というデマを信じてしまい朝鮮人虐殺が起こったのは、ご存じの通り。

 

 

 今回の能登地震を「人工地震だ」と騒いでいる人は、他の陰謀論も同じように騒いでいないだろうか。

「人工地震」「反ワクチン」「ディープステート」「コロナは陰謀」と騒いでいる人は、ネトウヨやネトサヨなど、極端な思想にもハマりやすい。

 

 

 そして、矛盾する陰謀論も同時に信じてしまう。

 

 

 

 

 我々人類が誕生して、200万年、ホモサピエンスに進化して20万年、電灯などを使うようになってたった100年少し、ラジオ放送も100年程度だ。

 

 人類は長い長い間、夜は暗闇の中で、仲間たちと肩を寄せ合い陰謀論ならぬ神や迷信などを創作し、それにすがって生き延びてきた。

 

 我々が科学なるものを信じるようになったのは、わずか100年程度のことなのだ。

 

 よって我々は、科学よりも「迷信」「陰謀論」「都市伝説」を信じやすいし、心の腑に落ちるのだ。

 

 

 

人は自分が信じたいものを信じる。デマやフェイクニュースは、その信じたい“何か”のために作られ、拡散していく。

 

 

 

 さて、では「人工地震」「反ワクチン」「ディープステート」「コロナは陰謀」と騒いでいる世の中に対してどうすればいいのか?

 

 答えからいえば【どうしようもない】のだ。陰謀論を信じている人は、カルト教団の「エホバの証人」や「統一教会」を妄信している信者と同じなのだ。いくら一般的におかしなことでも、信者にとってそれが救いなのだ。

 

 

 

「死んだら天国に行ける」と信じている人に「天国はないんですよ」と言っても無駄なのだ。

 

だから天国があると信じている人と会話するには、うまく合わせるしかない。
ただフェイクニュース陰謀論は天国のあるなしと違って有害だということだ。

 

 

 

ひとつわかっていることは、陰謀論を信じやすい人は、不安を抱えている場合が多い。不安を抱えている人が、占い師を訪ね、何らかのアドバイスをもらうことで、少しでも不安を紛らわせようとする心理と同じであるらしい。

 

この世に占いを信じる人がいなくならないように、陰謀論を信じる人はいなくならないのだ。よって、そういった人とは、否定も肯定も反論もせず、一定の距離間で付き合っていくしかない。