巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

女子護身術の思い出

ちょうど一年前、わたしはJR東●という会社の、女性新幹線運転士、および女性車掌さんたち、ほぼ全員に護身術を教えていたのであったのであった。

相手の女性たちは、18歳から30歳くらいまでの若い人たちである。

そのころ、新幹線や特急電車で、車上販売の女性が乱暴されるという事件があったため、テレンス・リー以上の使い手であった吾輩が指導をすることになったのである。

JRの偉い人から

「通り一遍の、口先護身術ではなく、本当に身を守れる術を伝授してください」

と、いわれ女性社員の方が、犯人に組み敷かれてしまうような非常事態でも、何とか対処できる方法を教えてくれと依頼されたのであった。

で、JRの偉い人と相談をし、まず男が襲い掛かってきたとき、通常ではまず対抗できないというところからはじめたのです。

まず、わたしは、女性たちに「これから、わたしは、あなた方を部屋の隅に、連れ込みます。本気で抵抗をしてください」と、宣言をしてから、乗客を装って、「新大阪駅まで、あと何分くらいですか?」と尋ねる。

当然、女性運転士・車掌は、腕時計を見ながら応対をする。

その刹那……、である。

わたしは突如襲い掛かり、女性を抱き上げ、訓練室の隅に連れ去るのである。

そこで、女性たちは、いきなりのことで何も抵抗できないことを知る。

次に、それに対抗する術を教えるのである。


さて、諸君の中には、「巨椋さん、若い女性に抱きつけて、うらやましいなあ」と、思う人もいるかと思う。

しかし考えてもみたまえ。

相手は40キロから60キロの成人女性である。

ときには30人くらいいるときもあるのだ。
それも本気で抵抗し、引っ掻く人もいる。(わたしが引っ掻いても噛み付いてもいいと言ったのである)

並みの体力ではできないのである。

教えた内容は、彼女たちの護身のため、あるいは守秘義務があると考えられるため、ここでは書かないが、かなり実践的なものであった。

実践的とはいえ、女性たちに恐怖心を植え付けたりトラウマになるようなことは避けるため、それなりに苦労をしたのである。


ただ……


ひとつ申し訳ないなと思ったこととして、女性たちの中で何人かは

「成人してはじめて、男性に抱き上げられた相手が先生だったなんて……」

と、言われたことである。


まことに申し訳ないと思う。


ちなみに、わたしは女性に引っ掻かれた傷口から雑菌が入り、40度近い高熱を出してしまったのであるが、それはその天罰かもしれない。


※この写真は、高熱を出したとき、足に異様は腫れ物ができたときのものです。

あのときは歩くのつらかった。(苦笑)