あまりにも熱狂的であった舛添都知事事件。最初にこの事件をスクープしたのは、ご存じ『週刊文春』である。スクープの第一弾は4月27日発売の文春5月12号であった。
それからというもの、テレビも新聞もネットも舛添氏の話題で沸騰した。まさに沸騰であり、ついに舛添氏は6月15日に辞職願を提出する。その間一か月強。話題は早くも次の都知事選へと移っている。
しかしその直後、フランスの新聞ルモンド紙が「舛添氏の辞任は官邸の陰謀だったのではないか?」という記事を発表したのだ。
その記事を日本に紹介したのは思想家で神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏である。
ルモンド紙によると
「東京オリンピックの不正送金疑惑」があり
「パナマ文書の流出の時」に起り
「400もの個人・企業が言及されているのにマスコミはほとんど報ぜず」
「7月10日の参院選は話題にされず」
「経済政策の失敗も注目されず政府はこれらの批判を回避することができた」
と、書かれている。
つまりルモンド紙は、日本の政界や財界などわずか1パーセントの超富裕層、超支配層、支配企業等が行った税金回避者の名が書かれたパナマ文書のことや、参院選、アベノミクス失敗の追及を国民の目からそらせるために、舛添氏を『犠牲の羊』にしたのでは? と疑っているのだ。
舛添事件を『陰謀』と考えているのは、ルモンド紙だけではない。本来は舛添氏と敵対しており、舛添降ろしにもっとも強硬であっていいはずの、参議院議員である山本太郎氏が舛添氏について
「事務的な力はすごく高い方、仕事はちゃんとする人」
と褒め、
「参議院選挙に対しての注目をそらせる、現政権に対してネガティブな部分を出さないためのスピンコントロール(情報操作)だ!」
と言い切っているのだ。
(YAHOO!ニュースより引用 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160614-00000097-dal-ent)
山本太郎議員だけではなく、SEALDsの奥田愛基氏も「舛添氏が適切な金銭感覚の持ち主だとは全く思わないけど、舛添氏のスキャンダルとオリンピックのニュースが同じタイミングで出るのは色々ありそう」とつぶやいている。
(引用: https://twitter.com/aki21st/status/730664778843070464)
どちらかというと、山本氏も奥田氏も舛添氏に反対する立ち位置にいると思えるのだが、その2人が同じような疑いを持っているらしい。
確かに、舛添事件の発覚から辞職までの間、「パナマ文書問題」も「オリンピック不正送金疑惑」も参院選やアベノミクス失敗もほとんど国民の興味から消えた。
参院選ははじまったが、報道は都知事選と重なるため、報道は半分にならざるを得ない。
参院選の党首討論で経済問題等を指摘されると逆ギレする安倍総理がテレビで報道されてはいるが、本来ほど指摘されていない。
つまり官邸にとってまさに『好都合』な事態となっているのは事実のようだ。
もしこれが本当に官邸の陰謀だとすれば、国民は見事に踊らされたことになる。
はたして真偽はいかに?
(参考:ルモンド紙の記事はコチラ http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2016/06/15/victime-de-ses-gouts-de-luxe-le-gouverneur-de-tokyo-demissionne_4951065_3216.html)