巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

地下鉄サリン事件から20年 なぜ人々はオウムを信じたか

地下鉄サリン事件から20年たちました。


20年前のその日、ぼくはあの時間に、中央線で神田にあった自分の事務所に向かっておりました。


事務所につくと、地下鉄で何か大変なことが起ったらしいという話しが出ていました。それが、あのような大惨事になっていたとは・・・ それは夢にも思っていませんでした。


やがて数日後だったか数週間後だったか、どうも犯人はオウムらしいとう噂が流れていたのを覚えています。


当時、オウム真理教はいろいろな事件や問題を起こしていて、いかにもアヤシイ集団としてマスコミを賑やかせておりました。


なぜああも多くの人々がオウムという宗教や、麻原という人物を信じたのでしょうか? それは世紀末という時代背景があったのだと思います。


世紀末ブームは、冷戦や公害、核の恐怖などがあった60年代の後半あたりからあったように思います。


73年、「ノストラダムスの大予言」という書籍が大ヒット。ユリ・ゲラーの超能力ブームに、心霊漫画「うしろの百太郎」といったオカルトブームがありました。




79年、「月刊ムー」創刊。ハルマゲドンストーリーといわれた小説「幻魔大戦」もはじまり大ヒット。人々の、特に若者の心の中には、「あと20年で本当にこの世は終わるのではないか」という、漠然とした不安感と期待があったと思います。実は、私自身も、「月刊ムー」は創刊号から読んでいて、「幻魔大戦」も最初の単行本が出たときから、買い続けていました。




私自身もまた、この時代の空気を吸って生きていました。ちなみに私の親しい友人に、ブライダルジャーナリストの堂上昌幸という男がいますが、彼がマスコミに入るキッカケになったのは、応募で「幻魔大戦」についてのエッセイを書き、それが単行本の後ろに載ったことがキッカケでした。


そしてオウム真理教の幹部たちも、これらの空気を吸った青春時代を送った私と同年代の人たちです。


オウムは84年にヨガ道場として誕生しました。バブルに向かう異常な好景気の中、若者の多くは、どこか漠然とした不安感を抱き、お金や地位ではない、もっと心の高める“何か”を求めていた人たちがいて、その手段として、ヨガや超能力開発といったものに惹かれていったのだと思います。


私の手元に一冊の本があります。


95年3月2日発行、麻原彰晃著『ザ・超能力 秘密の開発法―すべてが思いのままになる!』


いま見ると、いまや死刑囚や実刑になっている人が、空中浮遊(という名の胡坐ジャンプ)をしてる。

いまや、オウムの後に改名した宗教団体アレフから分れた上祐氏も、ジャンプしてる。



地下鉄サリン事件が起きたのは95年3月20日です。つまりこの本が発行された18日後に地下鉄サリン事件が起ったことになります。

そして同年、5月に教祖麻原も逮捕。


この本でジャンプしているオウムの幹部たちは、自分たちが本当に空中浮遊していると思っていたのでしょうか?


ただ、自分たちはともかく麻原は浮遊していると思っていたことでしょう。


ただ、そのことについて、キチンと麻原に証明してもらおうとする人はいなかったと思います。


宗教を信じるというのは、そういうところがあります。


私たちは、「目には見えないけど、空気があることを信じる」とか「電気があることを信じる」と、明らかにわかっていることを、わざわざ「信じる」とはいわないものです。


よくわからないもの、本当に信じていいかわからないけど、信じたいものに対して、私たちは「信じている」というのです。



そして、信じたいから、多少の矛盾やまちがいには目をつぶる。


信じると、言葉にするというのは、そういうことなのです。



そして、ハルマゲドンという終末思想、そのハルマゲドンも信じたかったのだと思います。



彼らは、信じたかったのでしょうね。


犯罪を犯しても・・・・







巨椋修(おぐらおさむ)拝





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巨椋修(おぐらおさむ)は陽明門護身拳法という護身術&総合格闘技の師範をやっています。

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