「世界でもっとも速いものとは、“事実”である」
といったのは、記憶がハッキリしないのだが、SF作家星新一氏のお父上ではなかっただろうか?
例えば、いまもっとも速いといわれているものに、光りの速さがある。
我々が夜見る星の中には、百光年どころか、1万光年なんてのがゴロゴロとある。
1光年というのは、光りの速さで一年かかる距離である。
我々は地球から見ている星は、1万年前、百万年前の過去の姿なのだ。
もしかしたら、それらの星はすでに“ない”のかも知れない。
事実は、光りよりも速いというのは、そういうことなのだ。
世の中には、事実認識をできない事象は、すべて存在しないという人もいる。
ここ数十年という間にさえ、これまでに発見されていなかった色々な病気が確認されている。
これらは、数十年前に存在していなかったわけではない。
ただ、事実確認ができなかっただけである。
事実確認ができない=存在しない
というのは、発想の貧弱さを表していると思ってよろしい。
さて、事実確認ができていないものに、UFOの存在というものがある。
05年2月3日、イギリス国防省が、宇宙人の存在を否定していないという発表があった。
イギリス国防省は国民から寄せられた膨大なUFO目撃情報を収集、記録しており、一部については追加調査を実施。
「宇宙人存在説について、まったく偏見は持っていない」
と回答しているという。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、国民から寄せられたUFO(未確認飛行物体)情報を国防省が記録しているとする同省防空担当者の書簡を、このほど入手したという。
同誌が、情報公開法に基づいて請求したもので、その回答内容は
「UFO目撃情報は数千件分、記録している。
検証している理由はただ1つ、わが国の防衛上で重要かどうかを確かめるためだ」
と、極めてマジメ。
書簡では
「近年の情報のうち、さらなる調査を必要としたのはほんのひと握り。防衛上の脅威になるという証拠は見つかっていない」
同省は第2次大戦終戦から5年後の1950年、“空飛ぶ円盤現象”を調べるべく作業部会を設立。
政府の技術諜報合同委員会へ調査結果を報告した。
しかし、当時は米国をはじめとする西側資本主義陣営と、ソ連を盟主とする東側社会主義陣営とが鋭く対立する「冷戦」時代。諜報部員の活動の場は広かったため、書簡は「委員会は作業部会に解散を命じた」としている。
宇宙人というと、常識人は否定する。
その根拠は、事実確認がなされていないというのと、何光年もかかる宇宙から地球に来られるわけがないという考えからである。
しかし、UFOとは未確認飛行物体のことであるから、防衛が使命である軍隊にとって、
未確認飛行物体=宇宙人
という発想ではなく
未確認飛行物体=敵国のミサイルや新型戦闘機かも知れない
とマジメに考えての発言であろう。
過去、発想の貧弱さゆえに、大敗した戦争が数多くあるだけに、軍人はリアリストにならざるを得ない。
リアリストであるがゆえに、「UFOの存在に、偏見をもてない」のであろう。
我々は、ささいな事にいちいち偏見を持っている。
偏見が常識となっている場合も少なくない。
我々は時として、常識というワクを外して、物事を見るということも必要なのだ。
そして、09年12月4日、UFO の調査に国防上の利益を見いだせないため、UFO調査部署を廃止したという。
これにより年間約 650 万円の歳出削減になるという。
つまり英国国防省のUFO調査人員は1人であり、その1人がリストラされたか部署が変わったということであろう。
これもまた、リアルな話しである。