あの大震災直後、あらゆるデマ、流言が日本中を駆け抜けた。
都市伝説やデマうわさというのは「自分にとって重要なことが曖昧になっているとき」に流れやすいという。
うわさには公式があって「噂の流通量=曖昧さ×重要性」であるらしい。つまり昔の子どもにとって「口裂け女」の事件はリアルで重要であったというわけだ。
都市伝説やデマ、噂は説得力があり否定的、あるいは恐怖を煽るほうが広まりやすい。
「信用できる知り合いからの情報だけど・・・」というのも広まりやすい。
今年の震災で流行したデマは、そのほとんどが関東大震災のときも流れている。
デマや噂は、聞いた人が何となく納得できるできるものが流行する。
その「納得」とは根拠や事実とは関係ない。関係者や当局や否定しても、それがまた陰謀ということになる。
つまり、デマや噂、都市伝説は事実や根拠とは関係ないということだ。
今回の震災でも多くのデマが流れた。
朝鮮人や中国人が日本人を襲っているなどというチェーンメールも流れた。
ご丁寧に「わたしの友人の体験ですが……」といった但し書きが書かれてあった。
実際にはそういったことはなかったのだが、デマを信じた人に「その話しは信用できないな」などと言ったところで、信じている本人は「でもホントだったらどうするんですか!」と、激怒するばかりであった。
同様に、震災の原因は“地震兵器による人工地震”とか“津波兵器による人口津波”という話しが流れた。
ぼくは地震兵器というものが存在しているのかどうか知らないが、それを信じた人の論によると、「震災前に外国人が大量に東北の土地を買っていた」という。
どう考えても、震災後に土地が安くなるんだから、震災前に土地を買うのは損だと思うのだが、オカルトファンには、そういった勘定はないらしい。
さて、ここからはぼくの創作である。
もし、ぼくが陰謀論を創作すると次のようになる。
震災、原発事故の後、被災地の土地はひどく安くなっていると思う。
そして、いま被災地のみならず、除染した土やガレキを処分に困っている。
本当に“外国人の陰謀家”がいるとすれば、震災後、ただ同然の土地を買い、産廃会社を起業する。
そして、除染した土は違法に日本全国に投棄する。
なんといっても“陰謀”をたくらむような外国人で日本に住むわけでもないから、日本国内がいくら汚染されても構わないわけだ。
安く買った土地は、数年後、あるいは数十年後に値を上げるだろうから、そのときに売ればいい。
あるいは、その土地に穴を掘り、行き場を失った『汚染された土やガレキ』を、埋めるという方法もいい。
引き取り手がないゴミであるから、行政は補助金なり助成金を払ってでも、その業者に頼むであろうよ。
過去、日本人は、常にその場しのぎ、先送りで問題を済ませてきたから、いま書いたことは、実際に行われるかも知れない。
やるとすれば、それは“外国人の陰謀”ではなく、問題を先送りする日本人によってなされることであろうよ。
そうならないことを切に祈るばかりである。
巨椋修(おぐらおさむ)拝