巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

自殺専門病院


20××年、安楽死を認める法案が与野党一致のもと認可されましたよね。

この法案の裏には、毎年数万人が自殺するという現実に対するためのものでした。

1998年を以降急増した自殺者数は年間3万人を超え、それ以降3万人を超え続けている野に対して、交通事故者数は、年々減り続け、2005年度では、7千人に以下になっています。

殺人事件で死亡する被害者は700人程度であるということからみても、いかに自殺が日本人の命を奪っているということがわかるというものでしょう。

ちなみに、世界保健機構によると、戦争で死ぬ人が全世界で約23万人、犯罪で殺される人が約50万人であるのに対して、自殺で亡くなる人は100万人と、戦争と犯罪死亡者数よりも多いというんですから驚きです。

そこで日本政府は、自殺を公認し、自殺専用病院を新設。

年間3万人以上の自殺者に対して、心置きなく亡くなってもらおうという方針を打ち出したわけですよ。

自殺の原因は多岐に渡るが、そのひとつとして、経済問題というのがあるでしょう。

それに関しては、自殺者の臓器を売買することで、代替し、遺族年金にあて、また臓器売買の売上の20%は行政に渡るという優れものでした。

また、遺体に関しては、各大学病院に引き取られ医学の進歩にも役立つというもので、そのために開発された医薬品も多いのですよ。

それに自殺志望者には、弁護士がつき人道上の配慮もされていました。

悪徳金融などの斡旋がないかなど厳重な審査があり、何度も引き止められるのですが、それでもこの病院は大流行。

文字通り行列ができる病院となりましたよねえ。


しかし問題が起こりました。



あまりにも増えた臓器売買のため、値崩れがおきはじめたんですよ。

さらに、世界各国でも同じような病院が開設され、安い海外産の臓器が日本に輸入されるようになったのがイタかった。


それ以上に難問もあったのですよ。


自殺専門病院の医師自身が、次々と自殺しちゃうんです。

まあ、医師というのは命を救うもので、それが殺す側になるのですから、おかしくなるもの無理はありませんな。


そして自殺専門病院は、なくなっちゃいました。


でもね、本当はあるのですよ。

アンダーグランドでね。

ブラックジャックのような無免許医が、サクサクと仕事をやってくれています。

さて、いかがですか?


いいですよ安楽死


よければパンフレットを差し上げますよ。

いえね、あなたが入院してくれれば、わたしにも3%の売上が入ってくるわけでしてね。

わたしも大変なんです。
先月子どもが生まれましてね。5人目なんですよ。

ねえ、どうかわたしを助けると思って……