相談者「あの〜、この前町を歩いているとですね。
お答えマン「はいはい」
相談者「煙草をポイ捨てする中年男がいたんです。それで思わず、あぶないじゃないかって注意をしたんですよ」
お答えマン「それはいいことをしましたね」
相談者「ところが、相手は気に入らなかったらしく、逆に煙草を10本くらい一気にくわえまして……」
お答えマン「ハードなパフォーマンスですね」
相談者「相手は煙草を10本くわえたまま、『オレは人から命令されるのがキライなんだ、バカヤローなんて言って、火のついた煙草をぼくに、どんどん投げつけてくるんです」
お答えマン「キケンですなあ」
相談者「ぼくも思わずカッとなって、『なにすんだ!』って殴っちゃったんですよ。そうしたら、相手が倒れて、頭を打ったらしくて気を失ったんです」
お答えマン「ほうほう」
相談者「介抱しようと思ったら、相手が投げた煙草の火が近くの民家に入ったらしく、燃え上がってしまって……」
お答えマン「あり得ることです」
相談者「早く消さなきゃと思ったんですが、火はどんどん燃え広がりますし……、そのときは携帯も持っておらず、公衆電話もなくて消防も呼べず、人を呼んでも誰も来ませんし……」
お答えマン「それでこわくなって逃げたんですね」
相談者「は……、はい! 気がついたら、あたりは火の海になってましたし、その場所は民家が密集している町でして、火は隣家から隣家へとどんどん燃え広がりまして、ついには町全体が火の海になりまして、死者数百名にまで燃え広がりました」
お答えマン「そのニュースなら、きのうからずっとテレビでやっていますね。なんでもその火事で数十人の人が焼け死んだとか」
相談者「ぼくは自首するべきでしょうか?」
お答えマン「まあまあ、冷静になってくださいよ。あなたがやったことは、町の無法者に注意をしたということですよね。
それは正義です!
さらに、火のついた煙草を投げつけられたため、反射的に殴り返してしまった
これは正当防衛です!
あなたは、何も悪事を働いていないじゃないですか」
相談者「で、でも火事のとき通報の義務が……」
お答えマン「あなたは、火事の一番近くにいた。つまり、もっとも火事に巻き込まれる可能性が高かった。だから必死になって逃げた。つまりこれは
緊急避難です!
つまり、あなたはなあんにも悪事など働いておらんのですな」
相談者「そ、それでいいんですか? 何十人もの人が焼け死んでしまったんですけど……」
お答えマン「はい、社会ってのは、そんなもんです」
相談者「そうですよね。なんだかホッとしました。明日からも元気に明るく生きていけそうです」
お答えマン「はい、それは良かった良かった。これからもそんなちっちゃいことを気にしてちゃダメですよ」