巨椋修(おぐらおさむ)の新世界

作家・漫画家 巨椋修(おぐらおさむ)のブログ。連絡先は osaogu@yahoo.co.jp

人の呼び方は難しい

人の呼び方は難しい。


例えば、「貴様」

これは本来、「貴い人様」という意味で、決してケンカ用語ではない。


例えば、「お前」

これは、「御ん前」という意味で目上の人に使う言葉であった。


例えば、「キミ」

これは「君」で、やっぱり目上の人に使う言葉であったのである。


名前の後につける言葉に「クン、ドノ、サマ」というのがある。


「君、殿、様」のことで、君と殿は、本来はすべて目上の人に使う言葉であったのだが、現代では「君、殿」は同格・格下の人に使う言葉となり、目上に人に使うのは「様」のみとなっている。


現代では、常識的に「サン」というのが、通常使われており、一番無難な呼び方といえる。


ギョーカイでは、なぜか仲のいい相手には「チャン」をつける。


オレなぞは、「オグラチャン」と、呼ばれることも少なくない。


マンガ業界では、編集部が漫画家を「センセイ」と、呼ばなくてはならないとう所もある。


「センセイ」も無難な呼び方で、頭の悪い人になると「センセイ」と呼ばないと、医者・弁護士・政治家・教師などは機嫌が悪くなる人もいる。




関西弁になると、さらにややこしくなり、関西では相手のことを「ジブン」とか「ワレ」とか呼ぶのである。


ジブンは「自分」であり、ワレは「我」のことである。


だから関西人が

「自分は自分のことをどう思っとるねん」

といった場合

「アナタはボクのことをどう思っているのですか?」

という意味になる。










実にややこしい。










ややこしいというと、知り合いの女の子に、九段下花子(虚名)という人がいて、いつも九段下さんと呼んでいたのだが、あるとき

「そんな他人行儀の呼び方はイヤ、呼び捨てにして」

というので

「それでなあ九段下」

と呼び捨てにしたら、なぜかご機嫌をそこねたことがある。


人の呼び方は、ホントむつかしい……