時代劇にはいろいろなヒーローがいる。
水戸黄門とか遠山の金さんとか、確かにちょっとカッコいいかも知んない。
しかし、実在の水戸黄門は、別に漫遊なんてしてないし、あまりいい話しは聞かないのよ。
遠山の金さんだって、入れ墨はしていたみたいだけど、別に江戸の町を遊び人の金さんとかいって、ふらふらしつつ、探偵のマネゴトなんかはしてないのね。
ところが、それらを地で行くカッコ良すぎる男が実在していたりするのだよ。
名を江川太郎左衛門といいます。
職業、韮山代官。
代官っていうと、水戸黄門にやっつけられる地方行政官みたいだけど、江川太郎左衛門が支配していた土地は、武蔵・相模・甲斐・伊豆・駿河の五カ国!
いまでいうと、東京の西部、神奈川県、静岡県、山梨県を領地としていたお殿様なわけです。
で、江川太郎左衛門はどんなことをやっていたかというと、文字通り水戸黄門みたいに、その五カ国を町人とか浪人に化けて漫遊してたのです。
一緒に旅をしていのが、幕末の剣の達人斉藤弥九郎!
え!? 斉藤弥九郎を知らない?
幕末の三大道場、つまり心心明智流、桃井春蔵の士学館、 北辰一刀流、千葉周作の玄武館、そして神道無念流、斎藤弥九郎は練兵館の道場主になる達人です。
(ちなみに斉藤弥九郎の弟子には、幕末の英雄、桂小五郎がいます)
その江川太郎左衛門が、親友の剣豪斉藤弥九郎と共に、自分が支配している五カ国に隠密行を行い、自らが、水戸黄門や遠山の金さんのごとく、悪者どもを裁いたり、一揆を事前に抑えたりして、領民からは「世直し大明神」と言われていたんですね、実際に。
いや〜、時代劇ドラマを地でいくことをやっている人がいたんだねえ。(笑)
さらにこの人。
当時、一流の蘭学者と付き合い、自分の領地にくる外国船(いわゆる黒船ね)と交渉したり、ジョン万次郎を部下にしたり、反射炉を作ったり、日本で最初にパンを作ったりしている人です。
ちなみに江川太郎左衛門の弟子には、佐久間象山なんかがいますね。
いやあ、世の中には凄い男がいたもんだ。
なんでこの人を主人公にしてテレビ時代劇を作らないんだろうなあ・・・
巨椋修(おぐらおさむ)拝